現代の最先端組織が、どのように効果的なコミュニケーションを促しているか。英作家のマシュー・サイドさんは「多様な意見を抑圧しないために、Amazonの会議は、完全な沈黙で始めるようになった。さらに実際の会議では、もっとも地位の高い者が意見を述べる順番が決まっている」という――。

※本稿は、マシュー・サイド『多様性の科学 勝てる組織の条件』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

シリコンバレーのAmazon本社
写真=iStock.com/Sundry Photography
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意見を言う社員ほど昇進・昇給できない

Googleは以前、特定のチームがほかのチームより優れた結果を出す要因を突き止めるため、自社の社員を対象に大規模な調査を行った。その結果、チームに成功をもたらすもっとも重要な要素が、心理的安全性であることが明らかになった(※1)。

この研究論文は非常に広く引用されており、その中にはこう書かれている。

「心理的安全性は、チームのパフォーマンスを左右する要素の中で飛び抜けて重要だという結果が出た。(中略)しかもメンバーの行動のほぼあらゆる側面に影響を及ぼす。心理的安全性が高いチームのメンバーは、低いチームのメンバーより離職率が低かった。またチームから出る多様なアイデアをうまく活用し、より収益をもたらした。さらに「効果的に働く」とマネージャーから評価される率も2倍高かった(※2)」

しかし世の中を見回してみると、ほとんどの環境に心理的安全性が欠けている。小売店やメーカーを対象にしたある研究では、新たなアイデアや疑問を頻繁に発言する社員は、昇給率や昇進率が大幅に低いという結果が出た。

この傾向は女性社員の間ではさらに顕著になる。意見を挟むことが男女の役割に対する固定観念に逆らうものだからだろう。特に女性が少数民族に属している場合、一段と顕著になる。つまり彼女らは「2重の不利」を被っていることになる。

心理学者シャーラン・ネメスは次のように指摘する。「我々は異議を唱えて笑われたりはねつけられたりするのが怖い。つい躊躇してしまう。下を向いて口を閉ざしてしまう。しかし意見を声に出さないと、深刻な結果をもたらしかねない」

※1 https://creighton.pure.elsevier.com/en/publications/psychological-safety-a-meta-analytic-review-and-extension
※2 https://rework.withgoogle.com/blog/five-keys-to-a-successful-google-team/