「優しい上司」の下から部下が去るケースが増えているのはなぜか。40年近く経営に携わり、数多くのリーダーを育成したアチーブメント代表の青木仁志さんは「部下からすると、褒められても嫌いな上司と叱られてもついていく上司がいる。若手の離職を防ぎ、部下の心をがっちりつかむだけでなく、結果として自身の社内評価やキャリアをも押し上げる管理職には共通点がある」という――。
オフィスで朝礼をするビジネスパーソン
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「褒める上司」の下から若手が去るワケ

近年、新卒や20代の若手社員が早期離職する理由の上位に「キャリア形成が望めないから」「成長環境がないから」という項目が挙がります。

いわゆる「ホワイト退職」と呼ばれる現象ですが、今の若手世代は、その職場で自分が価値ある人間に成長できるかをシビアに観察しています。彼らが求めているのは、働きやすさだけではありません。働きがいや、やりがいも重視しているのです。

ところが、多くの管理職は、「頭ごなしに怒鳴らず、褒めていればパワハラにはならず、若手は定着するはずだ」と考えています。心理学の観点から見ると、「相手を自分の思い通りに動かすためにおだてる」「目先の褒美で釣る」といった行為は、ガミガミ怒鳴ることと同様に「相手を自分の思い通りにコントロールしようとしている」点では全く同じだと言われています。

本当に必要な指導やフィードバックを避け、表面的なおだてや機嫌取りで済まされると、若手は「本気で向き合ってもらえていない」と感じ、「この上司の下にいても自分のキャリアは築けない」と心を閉ざし、そっと辞めていくのです。

一流と三流を分ける、たった一つの分岐点

一流上司とダメ上司を分ける分岐点は、マネジメントの手法ではなく「人間観」です。

ダメ上司は「部下は自分より能力が低く、外から刺激(アメとムチ)を与えて自分が正してやらねばならない」という人間観に立っていることが多いです。その結果、自分の成功体験を押し付け、批判する、責める、文句を言う、ガミガミ言う、脅す、罰を与える、目先の褒美で釣るという7つの致命的習慣を持っています。

加えて、それらをカモフラージュするために「褒めておだてておけば動くだろう」「波風を立てずに機嫌をとっておこう」といった表面的な関わり方で相手を動かそうとするのです。