1975年、石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。99年にNTTデータへ入社。リクルート、ライブドア、LINE、スタートトゥデイ(現ZOZO)などを経て、現在はオンラインサロン「田端大学 投資学部」塾長。
JTCには一度入っておいたほうがいい理由
会社を辞めたい。そう考える人は多いでしょう。ですが、辞めていい人と、辞めてはいけない人には、はっきりした差があります。僕は新卒でNTTデータに入り、リクルート、ライブドア、コンデナスト・ジャパン、LINE、ZOZOと、6社を渡り歩いてきました。その経験から見えた「辞めたらダメな人」の特徴をお話しします。
まず、勢いで辞めてしまう人。転職先も決めずに退職してから動き出すと、面接で足元を見られます。すでに辞めている求職者は交渉力が弱く、辞める前のほうが立場は強い。それをわかっていない時点で、もうセンスゼロです。頭の中で「転職したい」と考えるだけで、転職サービスに登録して自分のオファー額すら確かめない人も同じ。自分の市場価値を数字で知らない人に、転職も独立も向きません。
その市場価値を、僕は「値札」と呼んでいます。健康診断と同じで、若いうちから年に一度は確かめておく。それを怠って割増退職金に飛びつき、早期退職して市場に晒されてから「ステージ4のがんでした」とわかっても、もう打つ手はないのです。自分の力と会社の看板が切り離せないままの人、付き合いが会社の看板(社名)で成り立っている人は、辞めた瞬間に何も残りません。
僕は独立に向いていましたが、一度は日本の伝統的な大企業(JTC)に身を置くこともおすすめします。スタートアップ出身で早く独立した人は組織のお作法を知りません。僕もNTTデータに入ったときは、稟議をスタンプラリーかと思いましたよ。でも、今になって役に立っています。一見不可解な仕組みも、内側にいた人だけが「どこを攻めればいいか」を体でわかる。その“身体知”こそ、会社を出た後に効くのです。
人生を変える「35歳」の残酷な分かれ目
では、その分かれ目はいつ訪れるのか。僕は「35歳」を一つの目安にしています。20代は予選にすぎず、プロジェクトを任され「あれは自分がやった」と言える機会が増えるのは30代。そこで成果を出せば、業界内で自然に名前が広がっていきます。ヘッドハンターが「ほかにいい人は」と尋ねたとき、名前が挙がる人になれるかどうか。そして――もし40歳を過ぎてもそうなっていなければ、それは危険信号です。名前が広まっていない人は、下手に動くより、いまの会社にしがみついたほうがいい。
僕自身が独立したのは、44歳のときでした。約20年の会社員生活を経て、ようやく「辞めるカード」を切った。焦って先に辞めなかったのは、自分の中に「辞めていい人、ダメな人」を分ける基準を、はっきり持っていたからです。
では、僕は何を基準に、辞めどきを見極めてきたのか。その物差しを、僕は約20年かけて、自分の中に静かに作り上げてきました。
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