なぜお供え物と手土産は別々に用意するのか
お供え物についても補足させてください。理想を言えば、仏壇へのお供え物と、ご両親へお渡しする手土産は、別々に用意したいところです。
お供え物には「御供」ののし紙をかけ、日持ちのするものを選ぶ。一方、ご両親へ直接お渡しするものは、冷蔵・冷凍が必要な傷みやすいものや、すぐに使える身近な品でもかまいません。かさばる缶ビールなどは「お供え物としてお送りいたします」と事前に配送しておく手もあります。これなら「お盆に伺います」というご連絡も兼ねられて一石二鳥です。
こうした心遣いは、普段からの積み重ねがものを言います。出張先で「これをお義父さんお義母さんに」と何かを送っておく。日頃からそうしていれば、久しぶりに会っても自然に温かい空気が流れます。お盆と暮れにしか連絡しない間柄とは、おのずと差が出てくるのです。
大切なのは型より「敬う気持ち」
最後に、あらためてお伝えしたいことがあります。ここまで数珠や作法についてお話ししてきましたが、型だけをなぞっても意味がありません。何より大切なのは、ご先祖様を敬う気持ちです。
パートナーの家族には、直接の血のつながりも、顔を合わせたこともないご先祖様がいらっしゃいます。それでも、その方々がいなければ、あなたが愛したパートナーはこの世に存在しませんでした。代々続いてきた命への感謝を、心から持つこと。その気持ちがあれば、多少作法が不慣れでも必ず伝わります。
そしてもう一つ、可愛いお嫁さん・お婿さんだと思っていただく秘訣は、知ったかぶりをせず、何でも素直に尋ねることです。ゴミの捨て方一つとっても家庭によって違います。「これはどこに捨てたらいいですか」とうかがいを立てる。勝手にやってしまうより、そのほうがずっと好感を持たれます。気づいたことを、気持ちよく尋ねる。それが、良い関係を育てていくのです。
マナーは一方通行では成り立たず、お互いが相手を思いやることで初めて機能します。ご先祖様への感謝と、目の前の家族への心遣い。それさえあれば、義実家での時間は、きっとあなたにとっても温かいものになるはずです。


