相手の勧めがない限りかばんの置き場所は一択

他社への訪問時、意外と気を使うのがかばんの置き場所です。ほんの些細なことに思えますが、置き場所次第で、取引先への配慮を表したり、自身の印象を変える重要なポイントなのです。

かばんの置き場所について、まず絶対にやってはいけないタブーは「テーブルの上に置くこと」です。テーブルの上は飲食を行う空間でもあるため、かばんは置かず清潔に保っておきましょう。

では、かばんはどこに置けばいいのか。先方から何も言われなかった場合、正解は「床」です。床の上にかばんを置くのは不衛生で、品がないと思われるかもしれませんが、マナー観点からすると正しいです。

スーツ姿でブリーフケースを手に歩くビジネスマン
写真=iStock.com/shironosov
※写真はイメージです

かばんの底を綺麗にしていれば、むしろ床にかばんを置かないことで、訪問先からすると「床が汚いから避けられているのか」と思われる可能性もあるでしょう。

マナーコンサルタントの西出ひろ子氏
マナーコンサルタントの西出ひろ子氏

もっと踏み込んで言えば、先方の会社にうかがっている状況で、訪問先の床が汚いと思うこと自体が失礼に値します。

もちろん脳内で思っていることなので、直接相手に伝わることはありませんが、そうした思考が無意識のうちに失礼にあたる言動を引き起こす危険性もあります。欧州の上流階級の方は、かばんは椅子には置かないと言われています。なぜ床がかばんの置き場所として適切なのか、その理由を考えれば相手を慮る心構えも培われます。

畳文化だったかつての日本では、風呂敷を持参して玄関先の床や畳の上に敷き、その上にかばんを置く所作がありました。これは決して床や畳が汚いからではなく、床や畳を汚したり傷つけるのを防ぐという配慮からきています。それほど、昔は人のみならず物体も相手とし、ものも尊重する風習が当たり前のように機能していたのです。