※本稿は、千 宗屋『いつも感じのいい人のたった6つの習慣』(小学館)の一部を再編集したものです。
子どもは親のマナーを見て育つ
食事の場でのマナーや作法は、学んで身につくというよりも、基本は乳幼児期からの家庭での食卓で覚えるものではないでしょうか。物心つく前から食事を共にしている親や家族の仕草や動作を見て、子どもは疑いなく真似をするもの。
もちろん、外食時や学校での昼食時に、他人の食べ方を見て学ぶことも多いでしょうし、自ら気がついてクセや食べ方を修正してきたという人もいるでしょう。何歳からでもマナーを身につけることはできるので、そうして気がついた美しい食事の姿を、ぜひ次世代へと受け継いでいっていただきたいと思うのです。
食事は、自然に感謝しながらその恩恵をいただくことです。だからこそ、食事の時にはテレビを消し、料理に集中し、会話を楽しみたいものです。
子育て中や幼少期の家族がいる家庭などでは、子どもたちのお手本として恥ずかしくない姿を意識して、共に食卓を囲みたいと思います。
食べ終わったあとの食器はどうすればいいのか
日本は夏冬の気温変化が大きく、四季それぞれの美しさを楽しめる国です。とりわけ和食は、季節の魅力を食という形に凝縮したもの。旬の味わいや盛りつけ、器の趣向を十分に楽しみたいものです。
器を手に持って食事をするのも和食ならではの特色。重さ軽さや口に当たる感触をも楽しみ、食べ終わったあとでじっくりと鑑賞することも醍醐味のひとつです。紙ナプキンや懐紙などで水気を押さえ、裏返して見てもかまいません。
「目のご馳走」という言葉の通り、目で味わい、舌で味わう。どちらも含めてご馳走をいただくということだと思います。
豪華な蒔絵などのお椀が出てきたら、細工や模様を楽しんでから、ゆっくり蓋を取り、裏返しにして脇に置きます。食べ終えたあとは、蓋をもとどおりに戻します。
飲食店ではなく、個人宅で食事をいただいた場合は、食べ終えたあとに食器を片づけやすいよう、まとめておきたいものです。その時、基本的に食器は重ねません。器どうしが当たって傷つける可能性もあり、器によっては底の土見せから色が入ってしまうこともあるので、丁寧に、を心がけます。
貴重な器を出していただいた場合など、鑑賞する時には高い位置まで持ち上げたりせず、持ち主が安心して見ていられるよう気をつけたいものです。ちなみに茶席では、大事な器を傷つけないよう、指輪や時計などのアクセサリー類はあらかじめはずして鑑賞します。