葬式ではどんなことに気をつけるべきか。茶人の千 宗屋さんは「忌み言葉やタブーが数多く存在する。遺族をさらに悲しい気持ちにさせないためにも、繊細な気遣いが必要だ」という――。(第2回)

※本稿は、千 宗屋『いつも感じのいい人のたった6つの習慣』(小学館)の一部を再編集したものです。

突然の訃報に際し、普段からやっておくべきこと

訃報は突然やってきます。

葬式に臨むにあたって、他の冠婚祭といちばん異なるのは、準備の時間がほとんどないということです。

報せを受けてどうするか、失礼にならない装いや正しい弔意の示し方はどうだったか……。昨今は知人や隣人の葬式に参列する機会が少なくなっていることから、いざとなった時にあわてることも多いでしょう。ましてや遺族側は、精神的な痛手を受けている中でさまざまな支度をしなければなりません。

できれば日頃から、お通夜や告別式に備えて季節ごとの衣服やバッグ、靴などを用意しておき、数珠や袱紗などの置き場も決めておきたいもの。動転しながらでも必要な身支度を整えることができるでしょう。

かといって、葬式に対していつも準備万端というのも、それはそれで不自然です。突然もたらされる親しい方の訃報に対し、心残りのない対応ができるよう、心がまえだけはしておきたいものです。

日本の葬儀
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葬式とは社会を知ることである

冠婚葬祭の四大儀礼の中で、葬式は特に社会的な意味が大きいように思われます。かつては新聞に大きな死亡広告欄があり、地方紙などでは一面を使うところもありましたが、今では少なくなりました。それは、亡くなったという事実を広く社会に知らせることが必要だったからと考えられます。

現代では葬式そのものも小規模になりつつあり、逝去したことを周囲に知らせるのも、SNSを使ったり個人的に一斉メールで送信したりといった手段がよく取られます。その場で知らせるまでもない間柄の人には、年賀状の代わりに喪中葉書を出すことで亡くなったということを報告する人も多いでしょう。

そんな現代においても、葬式というのは単に個人と個人の関係を越えて、社会のつながりのあり方を再確認したり、整理をしたりする機会であると思うのです。ご遺族への共感、共通の友人や知人との再会、思わぬつながりの発見など、葬式を通じて自分が属する社会の関係を感じることもままあるはずです。