原則として身内でなければ喪服でなくても良い
葬式全般において、何よりも優先すべきは遺族の心情です。それは、他の冠婚祭の祝いごととは人と人との距離の取り方が変わってくるからです。
祝いごとの儀式に関しても、基本は相手の都合や考え、心情を慮り優先させることは同じですが、葬式ではそこはさらに厳しく守りたいものです。
お通夜や告別式に列席する際の服装は、今では一般的にどちらも喪服とされているようですが、もともとは少し事情が違っていました。
お通夜というのは、突然の訃報を受けて取るものも取りあえず駆けつけるものです。むしろ喪服で固めて伺うというのは、準備をしていたかのようで失礼にあたるとする考え方が、かつては主流でした。
現代においても、アクセサリーや派手な時計などは外し、地味な色合いの装いであれば、平服でお通夜に伺っても問題はありません。
原則として、喪服というのは遺族や近親者が喪に服していることを示すための服装で、喪章も同様です。ですので、身内ではない参列者は必ず喪服でなければならないというわけではないのです。
もっと言えば、紋付のきものの喪服は第一正装とされ、配偶者や子どもなどの近しい遺族のみが身につける決まりです。そのため、弔問客がきもので参列する場合は、地味な色の無地のきものに黒の帯というふうに、格差をつけることが正しいとされています。
訃報がもたらされたときにやるべきこと
とはいえ、昨今のようにほとんどの人がお通夜も告別式も喪服で参列するのがふつうになっている中で、その正しさや考えを押し通すのもいかがなものかと思われます。また、地域や家によってそれぞれの習わしが決まっている場合もあります。
葬式とは、深い悲しみの中にある遺族と共に、故人を弔う場です。あくまでも遺族の心情を優先し、悪目立ちせず場にふさわしい装いを心がけたいものです。
関係者から訃報がもたらされた時、すぐに遺族に直接連絡を取ろうとするのは控えましょう。おそらくは、いまだ深いショック状態の中で葬儀の準備に追われるという、混乱の渦中にあると思われるからです。そうした事情を考慮し、これ以上のご負担はかけないようにしたいものです。
ここでできることは、故人の共通の知人や仕事の関係者などと連絡を取り、お通夜や告別式の日時や場所、葬儀の種類、偲ぶ会などが開かれる予定なのかどうか、花や弔電の宛先はどこか、といった情報を集めることです。
それがわかれば、その後弔問の予定を立て、スケジュールを調整することができます。