お金持ちになる人と貧乏になる人の違いはどこにあるのか。カナダの経済記者、ニコラ・ベルベ氏は「筋が通っていて必ず儲かる保証が付いているような投資をする人ほど失敗することが多い。それはウォーレン・バフェットの言葉からも伺える」という――。(第1回)
※本稿は、ニコラ・ベルべ著、土方奈美訳『年1時間で億になる投資の正解』(新潮新書)の一部を再編集したものです。
「有望だと思う会社に投資」は失敗する
周囲の誰かを適当にとっつかまえて株式投資の方法を尋ねたら、こんな答えが返ってくるだろう。
「そうだな、一番有望だと思う会社を選んで株を買い、あとはその会社が次のアップルやグーグルになるよう祈ればいいんじゃない?」
僕はこの考え方を「レアな真珠の神話」と呼んでいる。この神話によると、投資家はみな水晶玉を持っていて、未来を読むスキルを持ち合わせた者は宝石を見つけられる。一方、未来を読めない者は失敗し、そのツケを払いながら生きなければならない。みなさんの周りにもこの神話に騙された人がいるかもしれない。
あなた自身がその一人かもしれない。たとえば未来の可能性に賭けるというのはどうだろう。今後数年にわたって世界を席巻するようなイノベーションを選び、その恩恵を享受するのに最適な位置につけている企業の株を買うのだ。
小さなバイオテック企業、人工知能(AI)の企業、あるいは電気自動車の急成長にともなって需要が急拡大しているリチウム電池メーカーはどうか。
この投資方法の問題は、実績が惨憺たるものであることだ。未来の世界を変えるような発明を今日知ることができたとしても、その情報を使って金持ちになるのは難しい。