バフェットの金言

そのときには同社のワクチンを接種しようと世界中で数百万人が列をなしていた一方、パンデミックの最中に数百店舗を閉鎖したスターバックスの株に同じタイミングで1万ドルを投資していたら、1年後には1万4200ドルになっていた。ファイザーに投資するよりリターンは20%も多い。投資をしていると本当にストレスがたまるのはここだ。

株式市場でのワクワクするような投資話を聞くと、僕はいつも経済学者バートン・マルキールの格言を思い浮かべる。

「息せき切って話す人間からは絶対にモノを買うな」。

ウォーレン・バフェット
ウォーレン・バフェット(画像= USA International Trade Administration/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons

ウォーレン・バフェットも同じようなことを言っている。

「拍手喝采を受けるような投資話には注意せよ。最高の投資はだいたいあくびが出るような話だ」

バーのハッピーアワーではおよそ話題に上らないような、そしてメディアの注目を集めたり推奨銘柄になったりしないような退屈な会社が、株式市場では劇的に成長することがあるとバフェットは指摘している。

2000年代半ば、ドミノピザはニューヨーク株式市場に上場した。以来同社の株は60数十年に一つあるかどうかのすばらしい成長を見せた。上場時に1万ドルで買ったドミノ株の価値は、15年後には37万ドルを超えていた。

プロの投資家の「成績表」

この情報を手に、タイムマシンに乗ってドミノがIPO(新規株式公開)をした日に戻れるとしよう。そして家族や友人にこう伝える。「いいかい、何に投資するべきか教えてあげるよ。絶対にドミノピザの株を買わなきゃダメだ!」おそらく笑いものになるだろう。

投資家はピザなんかに興味はない。バイオテック、リチウム電池、大麻関連株の話を聞きたいのだ。そしてそうした銘柄と命運をともにする。

プロの投資家なら株式市場で長期にわたって驚異的なリターンを得ることができるのだろうか。ほとんどのケースで答えはノーだ。それを裏付けるデータもある。

ニューヨークを本拠とする金融情報会社S&Pグローバルが過去20年以上にわたり年2回発表し、注目を集めてきたのが「S&P指数vsアクティブファンド」レポート、通称SPIVAだ。SPIVAはアクティブファンドの運用成績(パフォーマンス)をアメリカや世界各国の株式市場全体のパフォーマンスと比較評価している。

要するにこのレポートを見れば、プロの投資家が他の人より先にすばらしい宝石を見つけ、市場全体よりも高いリターンを生み出すポートフォリオを組めているかどうかがわかる。ファンドマネージャーにとっては学期末に配られる成績表のようなものだ。