中国で就職できない若者が深刻な問題になっている。中国国家統計局の発表によると、若年層(16~24歳、学生を除く)の失業率は8月に18.8%を記録、直近の10月は17.1%だった。大和総研経済調査部長の齋藤尚登さんは「習近平指導部が国有企業ばかりを優遇し続けたツケが若者に回っている。民営企業の活性化なくして中国経済の復活はない」という――。
「セール」でも物を買わない中国人
中国の消費が冷え込んでいる。
中国のデータシンクタンク「星図データ」の推計によると、2024年10月14日から11月11日の独身の日までのネットセールは、前年のセール期間比26.6%増の1兆4418億元(約30兆円)となった。
好調だったと早合点してはいけない。セール期間は2023年の10月31日~11月11日までの12日間から、2024年は29日間へと長期化し、1日当たりではほぼ半減している。しかも、現地報道によれば、一定額以上の購入を条件としたキャッシュバックを利用した後の返品の多さが問題になるなど、売上データは相当割り引いてみる必要がある。
独身の日の売上は2022年以降、停滞が続いているとの見方が妥当であろう。
「爆買い」はもはや見る影もない
ちなみに、今年のセール期間の長期化(前倒し)は、9月以降本格化した家電の買い替え促進補助金政策の恩恵を早期に享受することが要因のひとつであり、期間中の家電販売は好調であったという。しかし、これは特殊要因によるものであり、全体として消費者の財布のひもは固いままだ。
コロナ禍以前の中国では11月11日の独身の日と、eコマース業界最大手のJD.comの創業記念日である6月18日の2大ネットセール期間中に、日用品や嗜好品を爆買いすることが風物詩となっていた。
当時、筆者は「大安売りが行われるネットセールでの購入が増えれば増えるほど、期間以外の購入が抑制され、消費全体の下押し要因になりかねない」などと分析をしていたが、これは杞憂だったかもしれない。かつての消費の勢いは完全に失われている。