仕事の生産性を高めるにはどうすればいいか。グーグルの生産性アドバイザーを務めるローラ・メイ・マーティンさんの著書『Google流 生産性がみるみる上がる「働く時間」の使い方』(ハーパーコリンズ・ジャパン)より、メールの使い方を紹介する――。

便利ツールのはずが、最大のストレス要因に

私がクライアントと最初に仕事をするとき、ほとんどの場合、メールの使い方から始める。メールの扱い方は、個人によって大きく異なるからだ。仕事への不安の出発点になりえるし、ときには最大の苦痛ポイントにもなる。

多くの人にとって朝、最初に目にし、寝るまえに最後に目にする(隣で寝ているパートナーも含めて!)のはメールだ。メールはときに「これにちゃんと返信したかな?」と夜中になっても人を悩ませる。受信トレイに入っているものは頭のなかにも残っている。

私たちの多くは、便利な非同期のコミュニケーション手段としてメールを使い始めたが、いまでは、最もどっぷり嵌まり、最も時間を費やし、最もストレスを感じるものになってしまった。自分のToDoリストに他者から何かを追加される手段になってしまった。

リモートワーク環境にシフトするにつれ、メールの件数は膨れ上がっている。ソフトウェア会社〈ハブスポット〉のデータによると、パンデミックによってリモートワークへの移行が始まって以来、メールの量は44%増加したそうだ。

Gmailアプリ
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1時間に11回もメールチェックしている

電子メールは使い勝手に優れ、現代社会に不可欠なコミュニケーション手段だ。もし私がパワー・アワーで作業に没頭していて、相手が別のタイムゾーンで眠っている場合でも、プロジェクトについてメールをやり取りしておけば効果的に作業を進められる。

プロジェクトに新たな要員を加える必要が生じた場合や、作業内容を共有する必要がある場合にもメールは記録として残っている。ドキュメントを複数人で同時編集したり、インスタントチャットを利用したりできる場面もあるが、それでもメールは通常のワークフローにおいて重要かつ必須の存在だ。

研究によると、仕事中の人は1時間に約11回、メールを確認している。その多くは、実際には何も行動につながらず、ただチェックしているだけ!

私たちはときに、未読のメールをランダムに開けたり、メールに付随する業務を半分だけ片づけて残りを放置したり、受信トレイをリフレッシュして新しいメッセージが届いていないか探したり、返信を途中まで書いてやめたりなど、終わりの見えない作業をだらだら続けることがある。そうではなく、メールを効果的に処理するコツを会得しよう。