アメリカやカナダのテスラ所有者たちのあいだで、テスラのエンブレムを取り外し、トヨタやマツダなどのエンブレムを付ける動きが広がっていると海外メディアが報じている。かつて憧れの象徴だったテスラはいま、放火や襲撃の標的になっており、所有者の中には自分の身を守るため他社のクルマへの“擬態”を試みる人もいるという――。
相次いで放火事件の標的に
高級EVとして憧れの的だったテスラだが、昨今は政治的象徴として見なされるようになったことで、オーナーたちの間に不安が広がっている。全米各地でテスラ関連施設や車両への襲撃が相次いでおり、サイバートラックへの放火やショールームへの銃撃など、事態は悪化の一途をたどる。
AP通信の報道によれば、3月18日にラスベガスのテスラサービスセンターで何者かが複数のテスラ車に火を付けた。建物の入口には「resist(抵抗せよ)」という赤い文字が書かれていた。犯人は火炎瓶を投げた後、車両に向けて発砲したとされる。
シアトルでも3月上旬、駐車場内のサイバートラック4台が燃やされる事件が起きた。同週末には、男性がテスラのフラッグシップセダンであるモデルSにガソリンを散布し放火する様子が、通行人によって目撃されている。
オレゴン州セーラムでは、41才男性が逮捕された。容疑者はテスラ販売店に約8個の火炎瓶を投げ込み、消音器付きAR-15ライフルを持っていた。英インディペンデント紙は、この容疑者が同じ店舗を二度襲い、連邦裁で未登録装置不法所持の罪に問われていると伝えている。
ほか、テスラ販売店の窓に「ナチ」と落書きする事件や、米ABCニュースが報じるように、テスラの充電ステーションにトランプ前大統領を侮辱する言葉を落書きし、火炎瓶で施設に火を付ける事件が生じている。テスラを所有したり充電ステーションや販売店に近づいたりすることに、リスクが伴うようになっている。
これら一連の事件についてアメリカのパム・ボンディ司法長官は、「テロそのものだ」と強く非難。各被告には、最短5年から最長20年の刑が科される可能性があるという。