※本稿は、政近準子『装力』(時事通信社)の一部を再編集したものです。
商談で「相手の服装」が示していること
あなたの前に相手がどのようなファッションで現れるかは、あなたが、その人にとって、どう思われているのか、どういう存在なのかの表現だと考えて間違いないです。
商談の場面、あるいはデートなどプライベートなシーンでも、待ち合わせて会った瞬間に「少しちぐはぐだな」と感じることがあります。
その多くは、趣味や好みの違いもありますが、実はフォーマル度、格式の差による違和感から来る感覚です。
たとえば自分はきちんとした雰囲気でその場に臨んでいるのに、相手がラフすぎる装いで現れたら、「自分は軽んじられているのでは?」「大切にされていないのでは?」と無意識に感じてしまうものです。
逆に、相手が端正な服装なのに、自分は大雑把な装いなら、相手は「自分は大切に思われていないかも」と無意識に感じてしまうかもしれません。
ここで大事なのは、カジュアルが悪いということではなく、「相手と場の格式に合わせる想像力を持てるかどうか」です。
人生や仕事を大きく動かす「装力」とは
目の前の人は、自分を映す鏡でもあります。
「なぜかいつも蔑ろにされている」あるいは「自分に興味がないのだな」と感じるときは、実は自分自身が相手や場への敬意を欠き、内面の整えを怠っていることを相手が示してくれているのかもしれません。
服装はもちろん、日々を丁寧に過ごすようにすることです。
そうすると、不思議と周囲も変わっていきます。やがて相手も自然に「装力」を高め、互いに居心地のよい場や対話が生まれるのです。
私は仕事柄、相手がどんな装いで来るのかをかなりの確率で言い当てられるのですが、それは「大切に思えば、自分もまた装力をもって応える」という循環が、習慣として身についているからだと思っています。
「装力」とは、相手を尊重しつつも自分を失わず、お互いが気持ちよく立ち会える着地点を想像する力です。
その結果が、信頼を育み、人生や仕事を大きく動かしていくのです。

