習近平政権が目指す台湾統一は実現可能なのか。評論家の白川司さんは「アメリカと日本を中心に、軍事と金融の両面で中国包囲網が完成しつつある。さらに中国国内では経済が停滞し、人民管理を強化する方向に向かわざるを得なくなっている」という――。
2026年5月20日、人民大会堂でロシアのウラジーミル・プーチン大統領との非公式の茶話会に出席した中国の習近平国家主席
写真提供=©Alexander Kazakov/TASS via ZUMA Press/共同通信イメージズ
2026年5月20日、人民大会堂でロシアのウラジーミル・プーチン大統領との非公式の茶話会に出席した中国の習近平国家主席

アメリカ政界に潜り込んだ「中国工作員」

5月29日、アメリカ・カリフォルニア州アルケイディア市の元市長であるアイリーン・ワンが、中国政府の指示のもと違法な外国エージェントとして活動していたことを認めた。中国系住民が多い米西海岸郊外都市のトップが、中国政府の意向を受けてプロパガンダを拡散していたというニュースは全米に衝撃を与えた。

訴追タイミングがトランプ大統領の訪中直前だったことで、「トランプ政権が対米交渉の取引材料にするつもりではないか」との憶測を呼んだ。実際、専門家には「これは偶然ではない。『われわれはすべてお見通しだ』という北京へのシグナルだ」と主張する者もいる。

ワンは婚約者とともにU.S. News Centerというネットニュースを運営していたが、そこでは中国外務省が送付した記事をそのまま掲載して、ウィーチャット(微信)経由で「リーダー、ありがとうございます」と返信していたことが発覚している。

これまで各国で自由に暗躍していた中国勢力が、ここに来て次々と抑え込まれているのは偶然ではない。軍事・外交・金融・情報工作・国内統制という5つの重要分野でいま日米を軸とした包囲網が着実に完成に近づきつつある。

習近平の失敗をトランプは見逃さない

5月14~15日の米中首脳会談で、習近平は台湾問題について踏み込んだ発言を行った。台湾の頼清徳総統を名指しで批判したうえで、アメリカに対して台湾への武器供与をやめるよう釘を刺した。

だが、これは習主席の重大な戦略ミスだった。これまで中国は台湾問題を「内政問題」として扱ってきたのに、国際社会が注目する首脳会談の場で自ら実質的に議論の俎上に載せたことで、他国が口を挟む余地を与えてしまったからだ。

トランプ大統領はこの好機を逃さない。米中首脳会談の数日後に「頼清徳総統と対話する余地がある」と明言し、頼総統も「台湾はすでに独立した主権国家であり、喜んで協議する」と即座に応じた。

2025年12月に成立した台湾保証実行法により、アメリカ政府の高官が台湾を正式訪問することがすでに法的に可能になっている。