5カ国で中国を閉じ込める包囲網

日本や在日米軍が台湾海峡を睨み、フィリピンと台湾がバシー海峡を封鎖し、米豪がマラッカ海峡などのシーレーンを押さえるという封鎖網が完成するのである。これでは、有事で中国は石油も食料も自由に調達できなくなる。今回の合同演習は、そのシミュレーションだったとも言える。

【図表1】5カ国で中国を閉じ込める包囲網

日本(南西諸島)から台湾を経てフィリピンへ連なる「第一列島線」を移動式ミサイルで隙間なく埋めることで、有事に中国艦隊を南シナ海・東シナ海に閉じ込め、中国海軍の太平洋への出口を完全に塞ぐことができる。

フィリピンのマルコス大統領は5月18日、「台湾問題には干渉しない」としながらも、「台湾には20万人近くのフィリピン人が働いており、巻き込まれない選択肢はない」と述べた

これまで中国は台湾統一を「対台湾+アメリカ」で計画してきた。だが、高市首相が存立危機事態を明確化したことで、台湾+アメリカに、さらに日本というプレイヤーが登場した。中国側は日本を徹底的に叩くことで「アメリカ不参加」の強化を狙ったが、むしろフィリピン関与の可能性まで高めている。

金融制裁の「最後の穴」も塞がれつつある

現代の戦争において、最も重要なのは継戦能力、つまり資金が継続して流れるかどうかだ。軍事力と並んで、金融制裁が主要な圧力手段になっている時代である。

トランプ大統領はこの観点から、銀行を通じた不正資金の流れを遮断する大統領令に署名した。納税者識別番号(ITIN)を使って社会保障番号を持たない外国人でも口座開設ができる抜け穴を塞ぎ、ニューヨーク州などの「聖域都市」で横行してきた不正なリアルIDによる送金ルートなどを封じる措置だ。これらはアメリカ国内の規制強化に留まらず、海外からの不正な資金流入をも見据えている。

中国側からも大きな動きがあった。香港金融管理局は6月、中国本土の投資家向け口座に関する重大な規制措置を発表した。2023年以降に疑わしい書類で開設された口座の閉鎖、休眠口座の整理、そして新規口座開設時に資金が中国本土外の合法的な出所からのものであることを書面で確認することを義務づけた。

香港は中国本土の厳格な資本規制と世界の自由な金融市場のあいだを変換してつなぐ「変圧器」として機能してきた。年間5万ドルという本土の外貨購入制限を超えて資産を移転し、投資目的の海外送金を「見た目上は香港内取引」として吸収する緩衝地帯だった。その「最後の穴」が今、完全に塞がれつつある。