客の満足度が高い店には、どのような共通点があるのか。そばチェーン「ゆで太郎」の池田智昭社長は「利益よりも、お客様が自由に楽しめる体験を優先することだ。ゆで太郎では、満足度を高めるための仕組みとして薬味コーナーを設置している」という――。

※本稿は、池田智昭『ゆで太郎の儲かる仕組み 22年連続黒字を支えるがっちり経営術』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

1日の売り上げを支える「かき揚げそば」

ゆで太郎の強みは、朝・昼・夜と、1日を通して売り上げが立つことです。

立ち食いそばは本来、朝と昼の商売です。一方、町のそば屋は昼と夜が中心で、夜はお酒も提供します。ゆで太郎は、その両方を組み合わせた業態です。だから朝食にも昼食にも夕食にも対応でき、店舗によっては深夜まで対応しています。

私の感覚では、九州のすけさんうどんが最も近い存在です。ライバルというより、九州へ行くと必ず立ち寄るファンのような存在ですね。ロードサイドにあり、家族でも、一人でも利用できる。朝食から夕食まで幅広い需要を取り込んでいる点は、とても参考になります。

その1日を通した営業を支えているのが、実は「かき揚げそば」です。

かき揚げそば
写真=iStock.com/y-studio
※写真はイメージです

「定番」として選ばれる3つの理由

かき揚げは、もともと立ち食いそば文化を代表する商品ですが、それを町のそば屋のスタイルにも取り入れました。派手な看板商品ではありませんし、単品ランキングでも常に1位というわけではありません。しかし、定番天ぷらとしては圧倒的な存在です。クーポンの対象にもなっています。

人気の理由はシンプルです。価格が手頃で、ボリュームがあり、満足感が高い。ラーメンにトッピングして食べる人までいるほど、多くの人に受け入れられている食材です。

ただし、私たちは意図的に「かき揚げそば」を売り込もうとは考えていません。

もりそば、かけそば、朝そば、そしてかき揚げそば。この4つは、ゆで太郎の入口になる商品です。今後値上げが必要になったとしても、最後まで守りたい価格帯だと思っています。

もちろん、980円の大海老天そばのような少し贅沢な商品も人気があります。ご飯を付けてしっかり食べたい方もいます。

しかし、その一方で、「今日は軽く済ませたい」「少し小腹を満たしたい」という時にも選ばれる商品が必要です。その役割を担っているのが、かき揚げそばなのです。