「稼ぎどころ」の揚げ玉を無料にしたら…

ところが、その結果、たぬきそばが売れなくなってしまったのです。現在、ゆで太郎にはたぬきそばもきつねそばもありません。

たぬきそば
写真=iStock.com/Promo_Link
※写真はイメージです

町のそば屋では、ベースのそばにトッピングを加えて単価を上げるのが一般的です。しかし、ゆで太郎では揚げ玉を無料にしたことで、その商売が成立しなくなりました。

利益だけを考えれば、揚げ玉は有料にした方がいいのかもしれません。それでも無料にしている理由は、お客様に食べる楽しさを提供したいからです。

カレーにマヨネーズをかける人もいれば、コロッケにソースとマヨネーズをかける人もいます。朝ラーメンにニンニクを追加する人もいる。自分だけの食べ方を見つけられること自体が、来店する楽しみになっているのです。

もちろん、そのためには補充や清掃など、店舗の手間も増えます。それでも、お客様が楽しそうに薬味を選んでいる姿を見ると、その手間には十分価値があると思います。

「揚げ玉入れ放題」というサービスは、原価だけ見れば大した金額ではありません。それで「太っ腹な店だな」と感じてもらえれば、これほど効率のいい投資はないでしょう。

無料だからこそ、お客様は気軽に楽しめる。薬味コーナーは利益を生む設備ではなく、満足度を高めるための仕組みなのです。

たぬきそばはメニューから消えました。しかし、その代わりに、お客様は自分好みの一杯を自由に作れるという、もっと大きな価値を手に入れたのです。

まとめ
利益よりも、お客様が自由に楽しめる体験を優先する

「数量限定」にはすごい価値がある

「売り切れごめん」を崩さないことも、私たちの経営方針の一つです。

飲食店では、品切れによる機会損失を恐れて在庫を多く持とうと考えがちですが、私はそうは考えません。数量限定だからこそ生まれる期待感や特別感には、それ以上の価値があると思っています。

夏の人気商品といえば、うなぎです。うな丼セットは1100円、海老天を付けると1200円。ゆで太郎では最も高価格帯の商品ですが、「プチ贅沢」として位置付けています。

2026年も値上げはせず、昨年と同じ価格で販売します。さらに7月は金曜日の「得ランチ」に採用し、よりお得な価格で提供しました。