「台湾は中国の一部」論には無理がある

中国側はすぐに抗議したが、無意味だった。首脳会談という国際的な場で習主席自身が台湾問題を前面に押し出したのだから、これは自らが招いた事態にほかならない。電話会談が有力視されているが、トランプ大統領が台湾を訪問するシナリオもないとは言えなくなっている。

頼総統は米中首脳会談を受けて「台湾はすでに独立している」と述べたが、これは歴史的にも理がある。中華民国の建国は1912年、中華人民共和国の建国は1949年。台湾が中華人民共和国に統治されたことは一度もない。独自の民主主義体制、軍隊、通貨、政府を持つ実態からしても、台湾はすでに事実上の独立国家であると言うべきだ。

日米が採用する「ワン・チャイナ(=1つの中国)政策」は、台湾を中国の一部と認めたものではない。あくまで「中国が台湾を自国領だと主張していることを『認識・尊重(acknowledge)』する」と認めただけで、中国が台湾を領有していると国際法上認めたわけではない。

高市総理が「台湾有事は日本の存立危機事態になりうる」と国会で発言し、中国が激しく反発したが、これも麻生副総理や岸防衛大臣らがすでに国会で確認してきた日本政府の立場の範囲内である。これまでは「中国」と言わなかっただけだ。これに中国が過剰反応して台湾の国際的な重要性が引き上がり、国際的に台湾防衛への機運が高まっている。

日本+アメリカ+フィリピンの連携

米中首脳会談が行われていたその裏側で、アメリカとフィリピンの定期合同軍事演習「バリカタン26」に自衛隊が参加していた。陸上自衛隊から1400人が参加し、日本は移動式の地対艦ミサイルの運用訓練などを行った。

注目すべきは、米軍が射程距離500キロの移動式地対地ミサイル「ハイマース」を大量に持ち込んだことである。ハイマースをフィリピンに配備すれば、台湾とフィリピン間のバシー海峡を射程に収め、さらに中国大陸の沿岸部にまで届く。

フィリピンは無数の島を持つから、ヘリで島々に分散配備すれば、中国がこれまで莫大なコストをかけた7つの人工島への短距離攻撃も可能になり、それらを無力化できる。台湾もハイマースの購入を予定しており、日本は熊本などに移動式ミサイルをすでに配備している。

これを地図で確認すると、一つの絵が浮かび上がる。