中国人投資家、スパイに大打撃
これに引っかかれば、中国の社会信用評価制度で信用不良者に分類されるリスクも生じる。契約行為ができない、銀行口座を持てない、長距離の移動もできない。事実上の社会的死だ。一国二制度の香港は、今は昔だ。
こうした金融・資本規制の網が完成すると、在日中国人コミュニティにも深刻な影響が及ぶ。経営管理ビザの維持に必要な資金を香港経由で送金できなくなれば、ビザ更新が困難になる。東京の不動産を契約した中国人投資家が「お金はあるのに送れない」という事態に直面する。
地下銀行や暗号資産へのシフトは避けられないが、日本当局も重点的に摘発しようとしている。日米の金融封鎖と中国の内部管理が連動することで、資金の逃げ場はほぼ消滅したと言っていいだろう。これまで世界で暗躍してきた中国スパイの資金源が大きく断たれようとしている。
国民の海外脱出を食い止める3つの策
外から包囲網が締まる一方で、中国政府は、経済停滞で苦しむ人民の逃げ場を3つの方法で塞ごうと急いでいる。
1つめは戸籍制度の転換だ。農村出身者が農民戸籍のまま都市に住み、実態と記録がずれていた状態を、住所地主義の住民票管理に切り替える。表向きは「行政の近代化」だが、本音は14億人すべてがデジタル監視の網に組み込まれ、どこで誰が誰と会い、どんな不満を言っているかを中央に24時間捕捉されることになる。
※新華社(日本語版)「中国、25年までに都市戸籍取得制限を撤廃・緩和へ」(2022年7月13日)
2つめは銀行・証券口座管理の徹底だ。信用情報などから、これまで中国政府が把握できていた人口は実質11億人程度と言われてきた。残りの推定3億人の黒孩子(戸籍を持たない子供たち)や戸籍不実者などが、今回の管理強化で初めて正確に把握されることになる。
口座とデジタル人民元を通じて財布と身元を紐付けることで、国家がいつでも個人資産を凍結できる体制が完成する。
3つめが耕作地の管理強化だ。中国では土地はすべて国有で、農地に建物を建てることは禁止されている。しかし、実態として無数の違反建築が存在してきた。これに対して、現在の利用者に完全な原状回復(=耕作地への戻し)を義務づけた。
これまで認められてきた「善意の第三者による時効取得」のようなグレーゾーンも一切認められない。地方政府が過去に黙認してきたツケを、すべて末端の住民に押しつける身勝手極まる措置だ。
これは「人も資産も土地も、すべて共産党が把握し管理する」という共産主義の原点への回帰で、名付けるなら「シン・文化大革命」だろう。

