米KCRGの報道によれば、アトランタ在住のポール・ランキン氏はマスク氏への抗議として愛車テスラからエンブレムを外した。ランキン氏はヒートガンを使い、手作業でエンブレムを取り除いた。「イーロン・マスクは国民が選んだ公職者ではない」として、この行動に踏み切ったと語っている。

車体に「TOYOTA」のペイントも…

全国各地でテスラ車が破壊行為の標的になっているニュースを知り、ランキン氏は行動を決めたという。「何か行動を起こしたかったのです。小さな抵抗かもしれないですが、自分なりに一歩を踏み出した気持ちになれます。心理的には、わずかでも行動を起こした感覚がある」と彼は話す。

米自動車メディアのカー・バズは、ロゴを巧妙に付け替えたものから、サイバートラックに「TOYOTA」の文字をペイントした無理のあるものまで、数多くの事例があると報じている。

だが、たとえぎこちない擬態であっても、有名なテスラの「T」のエンブレムを付けたまま走っているよりはずっと良いという。シアトル地区でモデルYからテスラのエンブレムを外したジョーダン・シュワルツ氏は米ラジオ局KUOWの取材に対し、「テスラが付けたシンボルを取り去ること自体が、(自身がテスラ擁護派ではないという)より明確なメッセージになると思う」と語った。

「なぜこんなことを……」オーナーたちの苦悩

だが、オーナーへの嫌がらせは続く。米ワシントン・ポスト紙はマサチューセッツ州ブルックラインでの出来事を伝えている。アダム・チョイさん夫妻は礼拝後、自分のテスラにイーロン・マスク氏が腕を挙げたポーズのステッカーが貼られているのを見つけた。チョイさんは犯人らしき男性を駐車場で見かけ、携帯で撮影。「なぜこんなことをする権利があると思うのか」と問いかけると、男は「言論の自由だ」と答え、自転車で去っていったという。

ある所有者は、米アトランタ・ニュース・ファーストの取材に対し、「素晴らしい車だが、(マスク氏)は素晴らしい人物ではないのが残念です」と本音を漏らした。この男性は他のテスラオーナー向けに、エンブレムの除去サービスを始める予定だという。

手間のかかるエンブレム交換のほか、ステッカーも人気だ。車体用ステッカーが販売されており、「イーロンが常軌を逸する前に買いました(I BOUGHT THIS BEFORE ELON WENT CRAZY.)」とのフレーズが記されている。買ってしまったテスラ車は容易に手放せないが、マスク氏の支持者だから買ったわけではない、とステッカーでアピールするねらいだ。需要は伸びており、トランプ大統領の当選後に特によく売れているという。

カスタマイズされたナンバープレート
カスタマイズされたナンバープレート(写真=Missvain/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons