認知症患者は酒もタバコも欲しがらない
前回の続きで、日本一のリハビリチーム医療を行っている酒向正春先生に「認知症リスクを減らす生活」について聞く。
2回目は食生活と酒、たばこなどの嗜好品との付き合い方だ。
酒向先生が院長を務めているねりま健育会病院はリハビリ病院だ。さらに、3階の老健を管轄している。そこには認知症の患者がいる。
酒向先生は「認知症になった方で酒、たばこをのむ方はいらっしゃいません」と言った。
「私は大勢の患者さんと付き合ってきましたが、認知症の方でお酒を飲む方は知りませんし、たばこを吸ってる人もいません。おそらく、嗜好品に対しての関心がなくなるのではないでしょうか。同じように美食、グルメにこだわる方もいません。病院で出す食事をみなさん、おいしそうに食べています。以前は酒、たばこ、食事に好き嫌いがあったような方でも、関心がなくなるのが認知症かもしれません。
その延長で身だしなみ、部屋の汚れを気にしなくなります。認知症でおしゃれに気を遣う方もあまり見たことはありません。突然、身だしなみが悪くなったり、部屋の汚れを放っておいたりする方がいたら、様子を見たほうがいい。ひょっとしたら、認知症の症状なのかもしれません」
退職後の身だしなみに変化はないか
「退職して人づきあいが悪くなって、身だしなみを気にしなくなって、ぼろぼろの服を着ている人がいたらそれは要注意です。女性よりも、定年退職した男性に多いと思います」
前回、酒向先生は認知症になりやすくなる要因をいくつか挙げた。
喫煙は絶対にダメだ。もっともよくない。中年を過ぎて、高血圧、糖尿病、鬱体質にもなってはいけない。そして、肥満にならないような生活を心がける。肥満は高血圧、糖尿病につながりそれが認知症になるリスクを高める。そこで、食生活と運動を通して体重をコントロールすることが必要になってくる。
酒向先生は認知症のリスクを考慮して、16時間の断食によるケトジェニックダイエットで体重をコントロールしている。継続的な有酸素運動に多大な時間をかけるよりも、食事のコントロールが肥満にならないための現実的な策と思っているからだ。