3人に1人が「行きたい」
大阪・関西万博が開幕した。前評判は芳しくなかったが、初日の4月13日から1週間の総入場者数が60万人を超えるなど、賑わいを見せている。
朝日新聞社が4月19、20日に実施した全国世論調査では関西万博に行きたいと思うかという問いに「行きたい」と答えた人が32%だった。朝日は記事で、「そうは思わない」と答えた人が倍以上の65%だった、とちょっと意地悪な取り上げ方をしていたが、大阪でのイベントに3人に1人が行きたいと答えたというのは、なかなかの関心の高さと言っていいだろう。特に、18歳から29歳の若年層で行きたいと答えた人が45%に達していた。さらに、実際に会場に足を運んだ人たちの声は上々で、大型連休や夏休みに向けて人気がさらに高まりそうな気配だ。
158の国と地域が参加する今回の万博。開幕前は、パビリオンなどの工事の遅れが深刻化していて、建設が開幕に間に合わないのではないかと言った声も聞かれた。「無理をして万博などやる必要があるのか」といった厳しい指摘も根強くあった。結局、開幕後の現在も未完成のパビリオンは4館だけとなり、何とか滑り出しに大半のパビリオンが揃うこととなった。
否定的な声が多くあった背景には政治的要素もある
また、物価上昇もあって膨らんだ建設費にも批判が集まった。当初は1250億円を見込んでいた建設費は、人件費や建設資材の価格高騰の結果、1年半前の段階での見積もりで、最大2350億円という金額に膨らんでいた。赤字になった場合に、誰がそれを負担するのか、といった批判も相次いだ。
10月13日までの会期中に2800万人の来場者を想定している。そのうち350万人は訪日外国人が来場すると見ており、関連する消費は1兆円規模になるとも試算されている。政府は万博による経済波及効果を2兆9000億円と見込んでいる。この目標が達成できるのか、本当にそんなに人が集まるのか、といった懸念も強かった。
今回の万博に対して否定的な声が多くあった背景には、政治的な要素もある。大阪府市で多数を占める大阪維新の会が万博の誘致段階から主導してきたことで、反維新勢力の格好の攻撃材料になった。また、賛否が分かれているカジノを中心とする統合型リゾート(IR)が、今回の万博跡地に建設されるとの見方が強く、カジノ反対派も万博批判に合流していた。報道も問題点を指摘するネガティブなものに偏りがちだった。