中古車市場が拡大する中、売買をめぐるトラブルも発生している。自動車生活ジャーナリストの加藤久美子さんは「大手の一括査定サイトを利用した約20人が総額1億5000万円の『買取詐欺』の被害に遭った。高値を提示してくる業者は警戒したほうがいい」という――。
良い中古車を選ぶには、良い店を選ぶ
2024年の中古車市場規模は4兆8285億円と推計され、ここ数年で最大規模となっている(「中古車購入実態調査 2024」リクルート調べ)。
同調査によると、平均購入価格は155.9万円だが、多くの人にとって不動産に次ぐ高額な買い物である。
また、車は国の管理下で登録され、定期的に車検などで厳格に管理されながら日々使うものであるから、買った後も法定点検や車検、故障や修理などにおいて購入した中古車販売店との付き合いが長く続く。高い中古車も安い中古車も、これらのメンテナンスや修理代は新車と変わらないお金がかかる。
だからこそ、中古車を選ぶ際には店選びが重要になってくる。良い店で売られる中古車は、まずほとんどハズレがない。万が一、ハズレにあたったとしても良い店ならしっかりとフォローするはずだ。一方、客を騙す悪い店の車はハズレも多く、あとでトラブルになる危険性も高い。良い中古車を選びたいならまずは良い店を選ぶこと。そこに尽きる。
大手中古車サイトの評価は信用できる?
では、どんな店が「良い店」なのか。それを知るための一つの手段として、中古車雑誌等に掲載される「店のレビュー」がある。しかし、一度でも調べてみたことがある人ならわかると思うが、カーセンサーやグーネットなど大手中古車情報媒体における中古車店の評価は、どれもほぼ満点である。
実際、筆者が取材をしてきた悪い中古車店は、「入金したのに納車されず夜逃げ」「保険の不正契約で保険業法違反」「保険修理代の不正請求で大手損保出禁」「車検不正で国交省から行政処分」などなど、確実に悪いことをしているにもかかわらず、ほぼ満点に近い。
お店の状況を知りたいユーザーにとって全く役に立たないどころか、本来とてつもなく悪い店なのに「良い店」として紹介することは優良誤認させることになる。