スーパーの「いつもの棚」が変わった
5月下旬、近所のスーパーに買い物に行くと、あまり見慣れない光景を目にした。精肉や刺身のパックが、プラスチックの蓋からラップに変更されていた。
塗装業を営む知人は、「シンナーが手に入らず注文を断った」という。彼は「売り上げは想定よりはるかに減る」とこぼしていた。中小の事業者にとって、プラスチックなどの原料となるナフサの減少で製品の調達はかなり難しくなっているようだ。
その背景にあるのは、言うまでもなくイラン戦争だ。ホルムズ海峡の実質的な封鎖で、わが国の企業が必要とする原油やナフサの輸入は減少した。ナフサは原油から生成されるので、原油の中東からの輸入が減ると、どうしてもナフサの供給は減ることになる。
補助金のあるガソリンが最優先されている
そしてもう一つ、令和の「ナフサショック」を増幅させているのが、高市政権のガソリン補助金という指摘もある。中東からの原油の輸入が減っている現在、限られた原油から作る製品の中で比較的、利益の出そうなガソリンに供給が向かいがちというのだ。
つまり、単価の低いポリエチレンなどよりも、1リットルあたり42.6円の補助金(5月中旬時点)が得られる、ガソリン生成に供給が向かう傾向が出ているとみられる。そのため、利率が高くないシンナーや、コンビニのレジ袋などの製造に必要なナフサは十分に行きわたっていない状況のようだ。
今後の状況は、何といっても、ホルムズ海峡の状況次第ということになる。ここへ来て、徐々に船舶の航行が可能になりつつあるとの観測はあるものの、米国とイラン、さらにはイスラエルの出方、船舶保険料の高騰などを考えるとあまり楽観視はできない。
中東からの原油輸入の減少が続くようだと、国内の石油備蓄が取り崩されることになりそうだ。そうして懸念が高まると、わが国の物価には一段と押し上げ圧力がかかる恐れは残る。令和の「ナフサショック」で、わたしたちの生活環境はさらに苦しくなるかもしれない。

