自動車、医療、アパレル業界にも影響

粗ガソリンとも呼ばれるナフサは、経済活動に不可欠な基礎資材といわれている。ナフサは、原油を精製して重油や軽油、灯油を得る過程で生産される。ガソリンはナフサを加工して生産される。

また、ナフサを分解・精製して、エチレンやプロピレン、ベンゼンなどの化学品になる。化学反応を経て中間材料になり、コンビニの袋やプラスチック製品だけでなく、自動車用品、医療用品、アパレルなどの原料となる。数え方にもよるが、その用途は数千といわれている。ナフサが不足すると、日常の生活に必要なモノやサービスの供給に深刻な影響がある。

わが国のナフサの調達は、国内での原油精製が4割、中東輸入が4割、それ以外の輸入が2割程度といわれている。国産ナフサ原料の9割は中東由来だ。ということは、実に、わが国のナフサ需要量の8割は中東に依存している。

そのため、イラン戦争が発生し、実質的にホルムズ海峡が封鎖されたインパクトは大きかった。わが国のナフサの輸入、生産量は減少した。国内でナフサを供給するためには、石油備蓄を利用してナフサを生産することになった。

カルビーの商品が白黒になった理由

政府のガソリン補助金の影響も無視できない。イラン戦争による原油輸入の減少、それによるガソリン価格上昇を抑えるため、高市政権はガソリンに補助金をつけた。石油プラント企業にとって、ナフサをガソリンの生産に回したほうが収益的にはプラスになるだろう。

そのため、ガソリン補助金は、石油化学分野での流通のメカニズムに影響し、ナフサの需給バランスを歪めたとも考えられる。その結果、菓子の包装(主にはインク)、塗装業に必須のシンナー、ユニットバスなどの建材、注射器やカテーテル、ゴム手袋など医療資材の生産に必要なナフサ供給が減少した。

また、イラン戦争の発生による供給減で価格も上昇した。国内のナフサの取引基準価格は、戦争前の6万円台(1キロリットル)から、12万円程度に上昇した。当面高止まりが続くとの見方は多い。供給減、さらには補助金による需要の偏在、そして価格高騰により、中小を中心に国内企業が必要なナフサを、必要な時に、必要なだけ手に入れることは難しくなった。