何も得られなかったプーチン
北京・人民大会堂のレッドカーペットに、軍楽隊が中国とロシアの国歌を響かせる。華やかな式典のさなか、中国の習近平国家主席と訪中したロシアのウラジーミル・プーチン大統領が姿を現した。
5月20日水曜日の首脳会談で、ロシアと中国の両首脳は、互いの結束ぶりを前面に押し出した。だが、プーチン氏が実利的成果を得るには至らなかったようだ。米ワシントン・ポスト紙は、「プーチン氏と習近平氏は結束を示したが、ロシアが求めていたパイプラインに関する合意には至らなかった」と報じる。
同紙は、「手の込んだ歓迎セレモニー」とは相反するかのように、大型ガスパイプライン承認を習氏から取り付けることにプーチン氏が「また」失敗したと報道。「ロシアのエネルギー販売における中国への依存の深まりと、その限界を改めて浮き彫りにした」と断定した。
投資家たちには失望が広がった。
プーチン氏の北京訪問が終わると、ロシア国営エネルギー大手ガスプロムの株価は3.5%超下落。時価総額ベースでは、1日で約1000億ルーブル(約2300億円。5月28日現在のレート、1ルーブル2.25円で換算、以下同)が吹き飛んだ。
ロシア訪中団が得た唯一の成果
国際制裁でガスの売り先が限られたプーチン氏としては、会談での商談成立を切実に必要としていた。だが、ウクライナ政治ニュースサイトのウクラインスカ・プラウダは、訪問後に署名された40文書のいずれにも、石油・ガス関連の協力事項は1件も含まれなかったと報じている。
ロシアがこれまで10年以上もかけて中国と交渉してきた、シベリアからモンゴル経由で中国に至るガスパイプライン計画「シベリアの力2」の名前すら、見当たらない。
会談の「公式成果」を点検していくと、プーチン氏にとって肩透かしとも言える中身の薄さが浮き彫りになる。
この会談にロシア側が投じた政治・経済資源は、破格と言うほかない。ウクラインスカ・プラウダは訪中代表団の顔ぶれとして、副首相5人、閣僚8人、中央銀行総裁エリヴィラ・ナビウリナ氏、さらには国営企業や主要企業のトップらを挙げる。事実上、ロシア経済の中枢が丸ごと北京を訪れたような構図である。
そのうえで臨んだ今回の会談で、ロシア側が中国から引き出したのは、パイプラインのルートを含めた「基本的な理解」という言葉だけだった。

