盛況だった中ロ貿易の変化

問題は資源面だけではない。強いパートナーシップを謳ってきた中ロの結束が揺らぎつつある。

ロシア独立系英字紙のモスクワ・タイムズは今年5月、その状況を「ロシアと中国の『無制限』貿易パートナーシップが失速」と見出しに掲げて伝えた。同紙によれば、両国の貿易は2021年から2025年にかけて55%の伸びを見せた。

一方で、2025年は前年比7%減の2276億ドル(約36兆3300億円)に縮み、コロナ禍の2020年以来初めての減少に転じている。中国税関のデータを見ると、ロシアの対中輸出は3.9%減となったほか、中国の対露輸出はより大きく落ち込んで10.4%減に終わった。

減少幅は、主要品目で軒並み二桁に達する。同じくモスクワ・タイムズは、ロシアの対中輸出のおよそ半分を占める石油が20%減、石油製品が33%減、石炭が27%減になったと伝える。中国側からの輸出としても、乗用車は44%減、トラックに至っては67%減、通信機器で27%減、コンピュータが31%減となっている。エネルギーから工業品まで、双方向の主要カテゴリーが軒並み縮小した。

なぜここまで中ロの貿易は冷え込んだのか。同紙の分析によれば、まずパイプラインによるガス輸出は、すでにインフラ容量の上限に達している。さらなる拡大には「シベリアの力2」の完成を待たねばならないが、稼働までにはなお数年を要する見通しだ。そもそもロシアの対中輸出はほぼすべてがエネルギーで占められており、それ以外に中国市場へ差し出せる商品が乏しい。天井に当たった、というのが端的な状況だ。

Made In Chinaと書かれたダンボール
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中国製品で飽和するロシア市場

アナリストたちの見立ては辛辣だ。

モスクワを拠点とする分析センターCMAKPのアンドレイ・グニッチェンコ氏はモスクワ・タイムズの取材に対し、中国がエネルギーの備蓄を増やし、両国の経済活動が低調にとどまることから、2026年下半期も貿易の伸びは鈍化する公算が大きいと述べた。

カーネギー・ロシア・ユーラシア・センター所長のアレクサンダー・ガブエフ氏は、さらに踏み込む。中国はロシア依存に陥らないようエネルギー輸入の多角化を進めており、ロシア市場のほうも中国製の工業品で「飽和」状態に近づいている。

これを背景にガブエフ氏は、「結局のところ、ロシアは数え方にもよるが人口が1億4500万〜1億5000万人で、それほど豊かとも言えない国だ」と最近のポッドキャストで指摘。「中国の製造業者からすれば、その規模は欧州連合(EU)、ASEAN、アメリカとは到底比較にならない」と突き放した。

対中関係の冷え込みは、ロシア国内のガス産業を静かに蝕んでいる。

ガスプロム本体は、すでに人員整理の議論を始めた。米ニュース週刊誌のニューズウィークが2025年1月に伝えたところでは、ガスプロム管理委員会の副委員長エレーナ・イリュヒナ氏は前年の2024年12月、ガスプロムのアレクセイ・ミラーCEO宛てに、同社中央オフィスとサンクトペテルブルク支社の人員を4100人から2500人へと4割近く減らすべきだと提案した。