若者の関心が「東南アジア」へ向かっている
Z世代の女性のファッションは、長らく海の向こうに手本を求めてきました。この15年ほどは、ずっと韓国でした。
ところが、その視線が、これまで一度もなかった方向に動き始めています。
ベトナムと、タイ。いわゆる「東南アジアトレンド」です。感度の高い女子大生や若いOLさんたちが、ベトナムやタイのインフルエンサーやブランドを参考にし始めているのです。
僕は20年以上、若者を研究してきましたが、東南アジアのファッションが日本の若者のお手本になるのは、初めてのことです。かつて「Look East」という言葉があったように、日本や韓国に憧れる側だったアジアの国々が、とうとうトレンドを生み出す側に回り始めた。これは歴史に残るかもしれない大きな転換点で、とてもエッジーな出来事だと僕は考えています。
韓流が下火に…中国→タイ・ベトナムへ
日本の若者が手本にしてきた国は、この15年で段階的に移り変わってきました。
まず、約15年続いた韓流です。いまでも強いことは強いのですが、ここ1〜2年、僕は韓流が少しずつ下火になり始めていると見ています。韓国側も、あまり新しいトレンドを作れなくなってきました。スイーツはドバイチョコベーグル、ドバイチョコ餅と、似たようなものばかりが続き、K-POPアイドルもNewJeans以降、爆発的にマスになるグループが出てきていません。ドラマも、「イカゲーム」は別格としても、若者に刺さるものが少なくなってきました。
代わってこの1〜2年で強くなってきたのが、中国大陸のトレンドです。コスメも、「ワンホン」と呼ばれるインフルエンサーもそうですし、広く言えばTikTokも、SHEINも、マーラータンも、去年の夏に流行ったスイカジュースも中国のものです。中国のイケメンに会える遊園地もめちゃくちゃバズりました。
数の上ではまだ圧倒的にソウルへ行く人のほうが多いのですが、感度の高い人たちは上海に行くようになっています。Tagi.というかわいらしい雑貨屋さんなど、韓国とは違ったテイストの店が増えているからです。現地で中国の民族衣装をまとう「漢服体験」も流行りました。
そして、その次に――直近半年ほどで――初めて浮上してきたのが、ベトナムやタイの東南アジアトレンドなのです。日本でのポップアップが異常に増えたのも、この半年ほどのことです。