信頼されるビジネスパーソンは何を着ているのか。エグゼクティブスタイリストの長友妙子氏は「信頼される人は、自分の印象を損ねるような『残念な服』を着ない。それほど『見た目』の印象は絶大だ」という――。

※本稿は、長友妙子『信頼を着る 第一印象で選ばれる女性の「装い戦略」』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

服を選ぶ手
写真=iStock.com/Jacob Wackerhausen
※写真はイメージです

「○○診断」の落とし穴

自分を最も輝かせてくれるような、「自分に似合う服」を知りたい。

しかし、その正解が見つからず、「パーソナルカラー診断」や「骨格診断」を頼りにする人が増えています。実際、ファッション誌やSNSでは診断系のコンテンツが大人気です。この10年ほどの流れを振り返ってみても、この流れは衰える気配がありません。

いずれも一定の理論はあるのでしょうが、私はこれらを、統計に基づいて人を「類型化(パターン化)」するメソッドだと捉えています。

専門家から客観的に「あなたは○○タイプ」と定義され、似合うものをロジカルに提示されると、ハッとして頼りたくなるものです。自分という人間に「ラベル」を貼ってもらい、進むべき方向を決定づけてもらう。その迷いのない「心地よさ」に、人は救われるのかもしれません。

もちろん、こうした診断自体は素晴らしいきっかけになり得ます。ただ、その結果を「絶対的なルール」として受け止めてしまうと、かえって自分自身の可能性を狭めてしまうことにもなりかねません。

仮に「あなたに合う色はこれ」「骨格に合うのはこの形」と、今まで選ばなかったものを提案されたとしましょう。それを機に、新しい扉を開くのはとてもよいことです。

しかし、真面目な方ほど「正解」を守ろうとするあまり、たとえば「似合う色は紫」と言われたら、紫色の服ばかりを選んでしまう……といったことも起こり得ます。

本来、ファッションはもっと自由で、その日の気分やTPOに合わせてさまざまな色や形を楽しめるもののはず。なのに、「私にはこれしかない」と決めつけてしまうのは、あまりにもったいないことではないでしょうか。

診断結果を「賢く」活用

また、骨格診断などの「型」も便利な指標ですが、私たち人間の身体や魅力は千差万別です。数種類のパターンだけに当てはめようとするには、一人ひとりの個性はあまりに豊か過ぎるとも言えます。

大切なのは、診断結果に縛られるのではなく、それを「ひとつのヒント」として賢く活用する距離感です。なぜなら、診断が教えてくれるのは、あくまで「今のあなたの外見」に調和するものだからです。そこには、「あなたがどう生きたいか」「未来の自分はどうありたいか」という、一番大切な「意志」までは反映されていません。

物理的に「似合っている」ことと、その人の生き方として「魅力的である」ことは、似て非なるものです。ファッションには、理想の未来をたぐり寄せる力があります。その主導権を、外部による診断だけに委ねてしまうのは、ファッションの持つ最大の効力を手放しているのと同じかもしれません。

今の立場、内なる想い、そしてこれから目指す未来。そのすべてを含めた「あなた自身」に根ざした装いこそが、本当の意味での「似合う」であり、揺るぎない信頼をまとうということなのです。