「ロシアは中国の属国になった」
ガスプロムは2023年に6290億ルーブル(約1兆4100億円)の損失を計上。同社にとって25年ぶりの赤字だった。プーチン氏が全面侵攻を開始する直前の2021年、ロシア連邦予算の約7%を担っていた同社は、2023年にはその約半分の水準にまで影響力を落としている。戦争を支える主要な歳入源でもあったが、戦費にもじわじわと影響が出そうだ。
大西洋評議会が2024年5月にまとめた分析によれば、ガスプロムの2023年上半期は前年同期比で収益が41%減、販売利益は71%減、ガス生産は25%減。2024年第1四半期に同社が発表した2023年通年の純損失は約70億ドル(約1兆円)に達した。
「西側との関係断絶により、ロシアは『中国の属国』になった」
これはピーターソン国際経済研究所のエコノミスト、エリーナ・リバコワ氏が今年2月、ドイツ国際公共放送のドイチェ・ヴェレの取材に対して語った言葉だ。
引用したモスクワ・タイムズによると、リバコワ氏はさらに「ロシアにとって中国は圧倒的に最大の貿易相手だが、中国にとってロシアは輸出先としてはごく小さな存在にすぎない。ロシアにとっては、いまや中国が圧倒的最大の貿易相手国だ」と続けた。
中国とロシアの残酷な格差
ロシアの経済シンクタンク、ガイダル研究所によると、昨年ロシアが輸出した品目の27%は中国向けであり、ロシアが輸入した品目の36%は中国からのものだった。一方で、中国の輸出全体に占めるロシアの割合は2.7%に過ぎず、隣国でありながら、はるか遠方に位置するメキシコとほぼ同等の水準だ。中国にとってロシアは「失っても代わりがいる相手」であり、ロシアにとって中国は「かけがえのない相手」である。
依存は国民生活のレベルでも進む。ニューヨーク・タイムズは、ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所所長のキリル・V・ババエフ氏のコメントを掲載。「中東での紛争を受けて、中東ではなく中国の保養地を訪れるようになったロシア人にとって、中国はさらに身近なものとなったのだ」とババエフ氏は説明している。
ロシアが陥った一方的な中国依存を足場に、容赦なく強気の姿勢で交渉に臨む習氏。ウクライナに手を出したことでここまで尾を引くとは、2022年の侵攻時点のプーチン氏には、ついぞ見通せなかったことだろう。


