国際競争力が世界トップクラスのデンマーク人は、仕事でどのようにコミュニケーションをとっているのか。デンマーク文化研究家の針貝有佳さんは「デンマーク人の会議は最低限、メールやチャットのやり取りも最低限で、日本ではビジネスの基本ともいわれるこまめな『ほうれんそう』(報告・連絡・相談)すらしない」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、針貝有佳『デンマーク人はなぜ会議より3分の雑談を大切にするのか』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

オフィスでコーヒーを入れる女性
写真=iStock.com/Liudmila Chernetska
※写真はイメージです

「3分の雑談」が人生を変える

「じゃあ、コーヒーマシンのところで!」

北欧デンマークの職場で毎日のように耳にする定番フレーズだ。

仕事上で何か引っかかっていることを同僚に伝えると、「じゃあ、コーヒーマシンのところで!」。

そう言ってコーヒー片手に話しはじめたと思えば、あっという間に抱えていた問題が氷解し、自分のデスクに戻る。

その時間、わずかに3分。

メールを何往復させるよりも、わざわざ時間を決めて打ち合わせをするよりも、数分間、対面でパパッと話せば解決してしまう。

形式ばらずカジュアルに話すからこそ、ちょっとした一言から解決策が見つかることもあるし、現状の課題や困難、障がいを乗り越える「突破口」になることも。

3分サクッと立ち話をするだけで、仕事がスムーズに回る。自分のやりたい仕事ができるようになる。楽しく働けて、仕事の成果にもつながっていく。そして人生までもが大きく動き出していく――デンマーク人の雑談にはそんな力がある。

あなたも、そんな感覚を味わってみたくはないだろうか。

ビジネス効率性1位の国は「ほうれんそう」すらしない

国際競争力がトップクラスで、「ビジネス効率性」5年連続1位のデンマーク人は、成果を最大化させる「コミュニケーション力」を持っている。

デンマーク人は飲み会を開く習慣がない。勤務時間外に、仕事関係の人との「付き合い」もしない。

職場でコミュニケーションが取れているから、それで十分なのだ。

では、デンマーク人は勤務時間中に長時間にわたる会議を開催し、頻繁にメールやチャットで連絡を取り合っているのかというと、まったくそんなことはない。

むしろ、会議は最低限、メールやチャットのやり取りも最低限だ。日本ではビジネスの基本ともいわれる、こまめな「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)すらしない。

いったいどうなっているのか。

どうやら、成果を最大化させるコミュニケーションには「コツ」があるようだ。