“保守層”の「高市離れ」

乾坤一擲、真冬の電撃解散で、にわかリベラル新党の「中道改革連合」を木っ端みじんに打ち砕き、史上空前の316議席という大勝利を収めた高市早苗首相だが、特別国会が始まると、なぜか精彩を欠いている。

衆院予算委員会を終えた高市早苗首相(中央)=2026年3月9日午後、国会内
写真=時事通信フォト
衆院予算委員会を終えた高市早苗首相(中央)=2026年3月9日午後、国会内

自民党としては、単独で衆院の3分の2を優に超え、日本維新の会と合わせれば実に全議席の7割を超える超巨大与党を率いているのだ。堂々と余裕をもって国会論戦を進めていけばいいはずなのに、なぜか野党との話し合いも慣例も無視してしゃにむに予算の年度内成立に向けて突き進んでいる。

一方で、強硬右派の岩盤支持層が強く求めてきた政策などには、必要以上に慎重さを見せ、一部の支持者からは不満の声も出始めた。いったい高市首相に何が起きているのだろうか。

失望の始まり

始まりは、選挙から2週間後の2月22日、島根県主催で開かれた「竹島の日」の式典だった。日本固有の領土だが韓国に実効支配されている島根県沖の竹島の主権を取り戻そうと、島根県などが毎年行っている式典だが、今年は冒頭から不穏な空気が漂っていた。

島根県の丸山達也知事の挨拶などが型どおりに進んだ後、内閣府の古川尚季政務官が政府を代表して挨拶に立とうとすると、会場から「なんで大臣じゃないんだよ!」「堂々と大臣が出て行ったらいいじゃないかと言ったのはどこのどいつだ」という激しいヤジが飛び交ったのだ。なかには「恥を知れ!」と叫ぶ参加者もいて、司会者が度々注意するほどだった。なぜ、こんな荒れ模様になったのか。

去年9月の自民党総裁選のさなか、高市氏は竹島の日の式典について「本来でしたら堂々と大臣が出ていったらいいじゃないですか。韓国の顔色をうかがう必要はない」と、キッパリと発言していた。地元関係者の間では、高市さんがあれだけ言っていたのだから、ことしは閣僚級の出席があるのではという期待が高まっていた。

ところが、出席したのは大臣どころか、副大臣より格下の内閣府政務官のみ。自民党三役の一人有村治子総務会長が出席したが、首相サイドからは何の説明もなかったことが失望と憤りの声になったのだ。実は数日前に閣僚を派遣しない方針が報道されたとき、保守派の論客が「失望の始まり」とつぶやいていたこともあり、ネット上でも会場でも、批判が噴出したのである。