「荷崩れ」というのは、国対用語で、不正常な状態、例えば強行採決などで強引に予算案や法案を通すと、野党の審議拒否などで参院での審議が冒頭から動かなくなることを指す。衆議院では圧倒的な数の力の前に野党には抵抗の術もないが、参議院では、与野党は逆転している。国民民主や参政党も、与党の進め方に不満を強めており、このまま衆院通過を強行すれば、荷崩れ状態で参議院での審議が遅れる可能性がある。

この閣僚経験者は、「高市首相もやっと状況が分かってきたみたいだが、さて、いつ降りるのか。今度はそれを何とかするのが与党の仕事だろ、と言われるのかなあ」となかばあきらめ顔だ。

壊れたブレーキ

高市首相が、選挙後、3万円のカタログ・ギフトを自民党議員全員に配ったことが波紋を呼んでいる。高市首相は法的には問題ないとしており、そんなことで目くじらを立てるのは野党やオールドメディアだけだ、という妙な擁護論がネット上にあふれているが、去年、石破茂前首相が、新人議員に商品券を配った時には、散々問題にされていた。

石破氏の場合は、会食とは別に15人に10万円、計150万円をポケットマネーで支払ったという説明だった。高市氏は、315人に3万円、計約1000万円。しかも出所は高市氏が代表を務める自民党支部から、つまり政治資金である。金銭感覚という点だけではなく、政治活動の在り方として果たして理解されるだろうか。

石破氏も、最初は、法的問題はないとしていたが、与野党から批判が高まり、最後は「世の中の感覚と乖離していた。お詫び申し上げる」と全面的な謝罪に追い込まれた。

しかし、高市氏は、やはり謝罪だけはしたくないようだ。

「恥ずかしいが、昭和の中小企業の親父社長みたいなところがある」とか「メシ会苦手な女なので、代わりに結婚式のご祝儀の額を参考にした」などと、言い訳なのか開き直りなのか判然としない発言に終始し、結局、反省しているのかどうかも分からない。

そして、最後には、「法的に問題はないが、今後は控える」、要するに「謝罪苦手な女」なのだ。これで岩盤保守の支持はつなぎとめられるかもしれない。しかし、多くの国民の納得を得ることは難しいだろう。

国会にしろ、今後予定されている外交日程にしろ、小手先のごまかしでは通用しない難しい課題がいくつも待っている。大勝した高市政権の真価が問われるのは、これからだ。

2026年1月19日、高市早苗氏が日本経済団体連合会と会談
2026年1月19日、高市早苗氏が日本経済団体連合会と会談(写真=内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons
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