【速い】
最短90分で「新しい歯」が入る最新CAD/CAM治療
アナログの型取りより高精度な口腔内スキャナー
歯科治療の分野で近年進化が著しいのが、CAD/CAMを活用したデジタル補綴治療です。従来の虫歯治療では、印象材と呼ばれる粘土のような材料で型取りを行い、石膏模型を作製し、歯科技工士が手作業で修復物(被せ物や詰め物など)を作るという流れが一般的でした。現在は、口の中を「口腔内スキャナー」で直接3Dスキャンし、コンピュータ上で設計したデータをもとにセラミックのブロックから修復物を削り出すことが可能になっています。
この進化を支える立役者が、口腔内スキャナーです。最新機種では、複数の比較研究において数十マイクロ㍍レベルの高い再現性が報告されており、従来のシリコーン印象材を用いたアナログの型取りと同等か、症例によってはそれ以上の精度を示すとされています。スキャン時間も機種によっては上下顎で数分程度で完了。印象材特有の不快感や嘔吐反射が軽減されるケースが多い点も大きなメリットです。
スキャン後は、コンピュータで修復物をデザインするのですが、最近ではAIが微細な山や溝の形まで提案してくれるようになり、歯科医師は最終的な調整のみ行います。小さな詰め物であればデザインから削り出しまで約30分。比較的噛む力がかかる奥歯の被せ物でも、条件がそろえば最短90分で作製が可能です。
CAD/CAMを活用した治療の材料面では、ジルコニアの進化が顕著です。ジルコニアは「人工ダイヤモンド」と呼ばれるほどの高い強度が特徴で、ブリッジ(橋渡しの被せ物)にも対応できるほど頑丈。その半面、見た目が不自然に白く、他のセラミックス素材に比べて審美性で劣るのが難点でした。しかし近年では透明性が向上し、口を開けても見分けがつかないほど、天然歯に近い審美性を再現できるレベルに進化しています。
被せ物は「削りたて」で接着するのが理想
CAD/CAMを用いた即日治療には、スピード以外にも大きなメリットがあります。被せ物を接着する際、歯は「削りたて」の新鮮な状態が最も理想的なのです。通常だと次の来院まで仮蓋をしますが、仮蓋はどうしても外れたり、中に汚れや細菌が入り込んだりしやすいのが難点。汚染や感染のリスクを回避できるという点でも、即日治療は理に適っているのです。
口腔内スキャナーの価格は、高いもので約1000万円。しかし最近は韓国・中国メーカーの技術進化が著しく、200万円台の機種でも非常に高性能です。情報収集に長けた歯科医であれば、比較的リーズナブルに最新機材を導入できる時代になりました。
現状、口腔内スキャナーを導入している歯科医院は全体の約15%にとどまります。ただし、2026年6月の診療報酬改定では、口腔内スキャナーを用いた光学印象の保険点数が増点されるうえ、対象も詰め物だけでなく被せ物にまで拡大される見込みです。この後押しで普及は加速していくでしょう。
もったいないと感じるのは、スキャナーを導入している歯科医院でも、型取りの用途にしか使っていないケースが大半だということ。初診でスキャンデータを取得・保存しておけば、例えば事故で歯を失ったりした場合にも、元通りの形で復元できます。また、磨き残しの染め出し後のスキャンデータを患者さんに共有すれば、普段は見られない口の裏側まで確認でき、「ここが磨けていないんだ」という日常的な意識向上にもつながるため、より広範に活用されることが期待されます。
【痛くない】
削る範囲も最小限に抑えられて無痛で虫歯治療できる「ヤグレーザー」
麻酔嫌いを克服する「新アプローチ」
実は「歯医者が嫌い」という患者さんの多くは、削られること以上に「麻酔の注射」を怖がっています。麻酔さえしっかり効いてしまえば痛みは感じないわけですから、やはりここが一番のハードルといえます。
その麻酔の痛みを軽減するために、新しいアプローチも登場しています。例えば「電動麻酔器」。手動注射器の場合、圧のかかり方にムラが出やすいのですが、電動ならコンピュータ制御により一定の圧力・速度で麻酔液を注入できるため、痛みが抑制されます。
ここから先は有料会員限定です。
登録すると今すぐ全文と関連記事が読めます。
- 広告最小化で快適な閲覧
- 雑誌『プレジデント』が最新号から読み放題
- ビジネスに役立つ学びの動画が見放題
- 会員限定オンラインイベント





