歯科知識のない患者にとって、口腔内で何が行われているか想像できない状況は恐怖心を煽られるもの。歯科医師と歯科衛生士が使う器具の役割や、治療用語の意味を知れば、安心して治療に臨める。歯医者が怖い方のためのクリニック院長が「やさしく」解説する――。

知らないことに恐怖心を持つのは当たり前

歯科治療に恐怖心を持つ方にとって、診療室には強い光や音、器具の形や聞いたことのない言葉など、恐怖心を起こしやすい要素が多く存在しています。そのため歯科医療は、他の医療……皮膚科や外科、内科、耳鼻科、整形外科などに比べても、特別に恐怖心を抱きやすい、特殊な診療科目だと捉えています。

歯科治療に苦手意識を持つ方が多いのは、受診時の姿勢にもあります。初めての診療からほぼ問答無用で椅子の背を約180度に倒されて、仰向けに寝かされた姿勢で、歯科医師が上から口の中を覗き込むため「椅子が倒れていくと、身動きが取れずに一方的に“痛み”を味わうことになるのでは」「されるがままで怖い」というように恐怖心をかき立てられることがあります。口の中は、脳や目、鼻、耳など、五感を司る大事な部分にとても近いことに加え、歯の神経は痛みを司るものがほとんどで、痛覚を刺激します。また、薬剤の臭いや味が、嗅覚や味覚も刺激します。ドリルの大きな音が聞こえるけれど、何をされているのかわからない。歯を削られているのか、磨かれているのか、どのくらいの痛みを覚悟すべきなのかを認識できないと、思考はどんどんネガティブに向かい、苦手意識や恐怖心も強まっていきます。

しかし、知らないことに対して恐怖心を持つのは、脳の正常な防御反応であり、少しもおかしいことではありません。だからこそ、歯科医師や歯科衛生士がどんな器具で何をやっているのかを理解したうえで治療に臨むことができれば、安心感につながる方もいらっしゃいます。何をされるのか知っているだけで苦手意識を減らすことができるのです。

(構成=本誌編集部 写真=iStock、PIXTA)
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