公共交通機関でタッチ決済乗車が広がっている。中央大学の近廣昌志准教授は「日本はキャッシュレス手段が多すぎるため、淘汰が進むだろう。交通系ICカードの利点は、支払いと信用を包括できるクレジットカードには及ばない。今後はクレカタッチ乗車が優位になっていく」という――。
いよいよ始まる東京メトロのクレカ乗車
2026年3月25日から、東京メトロでクレカタッチによる乗車が可能になる。東京メトロの導入によって相互乗り入れにも利用できるようになる点でインパクトが大きく、クレカタッチ乗車の利便性が一気に増す。
これに合わせて、既にクレカタッチ乗車を実施している都営地下鉄、東急電鉄、京急電鉄などに加えて、小田急電鉄や東武鉄道などもクレカタッチ乗車を導入する。
東京メトロと都営地下鉄を乗り継ぐ場合には、現在70円値引きが適用されているが、クレカタッチ乗車ではこれも適用になるので安心だ。
現在、同じ都営線なのにクレカ乗車だと「新たな乗車」になり、再び初乗り料金が請求されてしまう不備(都営新宿線の馬喰横山駅と都営浅草線の東日本橋駅の乗り換え)も、3月25日から始まるクレカタッチ乗車では解消される見通しだ。
交通系ICカードが「圧倒的強者」だが…
交通機関の支払いはもとより、キャッシュレス支払い手段が成功するかどうかは、経済学でいうところの「ネットワーク外部性」にかかっている。パソコンのソフトウェアは利用者が増えれば増えるほど、もっともっと売れるようになる現象と似ており、ネットワークの規模が大きいほど浸透するのだ。
現在、鉄道・バスでは交通系ICカードの利用が7~8割程度と圧倒的に多いが、いずれクレカタッチに「駆逐」されると予想する。本稿では、その理由を解説していきたい。



