働く人の服装はどう変化しているのか。ライターの南充浩さんは「ビジネススタイルがカジュアル化し、革靴の需要が減り続けている。代わりに履かれているのが、クッション性などの機能性を備えたスニーカーだ」という――。
革靴の紐を結ぶ人
写真=iStock.com/Andranik Hakobyan
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カジュアル化で「革靴」を履く人が激減

仕事と趣味を兼ねて、移動中に人々の服装を眺めていると、マストレンドがぼんやりとわかってきます。そのマストレンドの一つとして最近ひしひしと感じるのが、ビジネスマンの服装のカジュアル化です。

2005年にクールビズが始まってから、男性のビジネススタイルはカジュアル化し始めました。2020年代に入るとコロナ禍による在宅ワークの増加によってビジネススタイルはさらにカジュアルになりました。

クールビズ以前の男性のビジネススタイルは、スーツにワイシャツ、ネクタイ、それから革靴(正確には革製ドレスシューズ)が一般的でした。クールビズ以降は、ノーネクタイのワイシャツスタイルが増え、徐々にスーツではなくテーラードジャケットと綿パンも定着しました。

2020年代になり在宅ワークが定着すると、Tシャツにジャケットスタイルも珍しくなくなりました。銀行の営業担当者のような「お固い仕事」と呼ばれるような人々でもワイシャツ・ノーネクタイが珍しくなくなっています。その流れを汲んでか、足元を革靴で固めている人も随分と少なくなり、スニーカーを履いている人や、革靴っぽいスニーカーを履いている人が大幅に増えたと感じます。

これは相当に革靴需要が減っているだろうなと思わずにはいられません。

革靴は疲れる、メンテナンスが必要で面倒くさい

かくいう筆者自身も長らくスニーカー履きメインの生活スタイルになっています。革靴を履くのは冠婚葬祭と何かの式典に出席するときくらいになってしまっています。

もはや説明するまでもありませんが、なぜスニーカー履きの生活になるかというと、革靴と比べると圧倒的に楽だからです。

アッパー素材が主に本革や合皮で作られている革靴は、繊維素材のスニーカーと比べて硬く、また靴幅が狭いことも相まって、履き心地、歩き心地の観点から劣ります。靴底も皮底はもちろんのこと、価格帯によってはゴム底のものもありますが、そのゴム底でさえクッション性ではスニーカーにまったく太刀打ちできません。革靴とスニーカーとで、一日立ちっぱなし、歩きっぱなしの日の足の疲労度は段違いです。

さらにいえば本革を使用した革靴は定期的なメンテナンスが必要で、ブラシで汚れを落としてクリームを塗らないとひび割れたりカビが生えたりする一方で、スニーカーは水洗いできるものが当たり前で、中には洗濯機に入れられるものもあります。

普段使いする「履物」において、楽なほうに流れるのは極めて当たり前の選択です。