※本稿は、針貝有佳『デンマーク人はなぜ会議より3分の雑談を大切にするのか』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。
会議は冒頭の3分で決まる
コペンハーゲン市の会議でも3分の「雑談」の効用を活かしている。
コペンハーゲン市の職員として働くラーセン華子さんは、会議のファシリテーター役も務める。
そこでよく言われるのは、「会議は冒頭の3分で決まる」ということだ。
会議は「冒頭の3分」で決まる。
冒頭の3分に何も話さないと、その会議中に発言する心理的ハードルが高くなってしまう、というのだ。これは科学的にも証明されているらしい。
「軽い雑談タイム」の効果
そこで、コペンハーゲン市が会議を開催する際に、冒頭によく取り入れるのが「チェックイン」である。「チェックイン」の目的は、お互いを軽く知って、その場の雰囲気を和ませることである。
要は、冒頭に「軽い雑談タイム」を取り入れるというイメージである。
「チェックイン」には、色んな方法がある。
たとえば、質問を投げて全員に回答してもらう、トピックを与えて隣の人と話してもらう。
床に絵や写真を散りばめて「今年の夏を象徴する1枚を取ってください。それについて1分話してください」というチェックインをすることもある。
冒頭に「ちょっとした雑談」を入れることで、初対面の人同士でも、あぁ、この人はこういう人なんだな、となんとなくお互いを知れて、親近感が湧く。
冒頭に「雑談タイム」を設けると、会議の進行役が参加者のタイプを把握できるという効用もある。外向的でよくしゃべる人なのか、内向的であまりしゃべらない人なのか、会議前に把握できれば、司会進行もしやすくなる。
外向的な人はしゃべりながら考える傾向があるのに対し、内向的な人は考えをまとめるのに少し時間がかかる。話す内容はなんでも良いので、冒頭の3分で内向的な人にも話してもらうことで、全員が会議で発言しやすくなる。
会議の冒頭に「チェックイン」という名の「雑談タイム」を設けてみる。それだけで、みんなが発言しやすくなるのなら、試してみる価値はありそうだ。
ちなみに、チェックインの時間は、会議の長さや特徴に合わせて、5分や10分に設定することもあるそうだ。