屋上から見える東京タワー。私たちが麻布中学・高校で過ごした頃から変わっていませんね。

東京都港区にある麻布学園の屋上にて。
東京都港区にある麻布学園の屋上にて。

平さんは化学部部長、私は剣道部主将。共に部活動のトップとして親交がありました。いつも笑顔で誰にでも優しい平さんは、動じない包容力で一目置かれる存在でした。だからこそ、想定外の出来事に満ちたこの学園で13年間も校長が務まるのでしょう。

彼は特定の分野の担い手となる「人材」を育てるのではなく、どんな場所でも輝き、活躍することができる「人間」を育てたいと言います。麻布の「枠にとらわれない教育」は、私たちの頃から変わりません。入学試験でも答えだけでなく、思考の過程を見て採点し、個を拾い上げます。また、中学3年生の現代文で課される共同卒業論文は、原稿用紙数百枚に及ぶもので、私も太宰治や森鷗外を読み耽り、納得いくまで仲間と議論しました。平さんは「生徒は元気で生き生きとしてさえいればいい」と笑いますが、実は教職員が総出で生徒を見守っています。この安心感があるから、自分の頭で考え抜き行動する、自由と自己責任の精神が生徒に根付くのです。東京海上グループも、お客様の「いざ」をお守りすることを存在意義に掲げています。不測の事態や未知への挑戦といった「いざ」というときこそ、自律した人間力が必要なのです。

(撮影=宇佐美雅浩 構成=田中健介(本誌編集部))
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