口は悪いのに品がある。三井さんは東京に絶対いないタイプの、不思議な魅力を持つ方です。飲みに行けばテキーラばかり。豪快さの一方で、参拝客には神社の由来を穏やかに語り掛け、能登の復興にも尽力されています。
初めてお会いしたのは、知人が開催したゴルフコンペ。私はM&Aでグループに加わった「ブランドオフ」の経営再建を託され、金沢に赴任していました。共に学生時代は陸上に打ち込んだ体育会系同士で、すぐに意気投合したのを覚えています。
正直なところ、当時の私はニューヨークや東京といった「グローバル」な市場こそ重要だと思っていました。それが、三井さんと接する中で、考え方はガラリと変わりました。金沢には、地域の人が互いに支え合う濃密なコミュニティが代々続いていて、それが経済の強さになっている。三井さんと氣多大社は、その中心を担っています。
歴史ある祭事を担う三井さんは、この世に「抗えないもの」があることをよくご存じです。時を超えて受け継がれる伝統への畏敬の念、そこから生まれる謙虚さが、豪快な振る舞いの中にも崩れない品格をつくっているのだと気づかされます。
経営もまた、論理だけではどうにもならない運や巡り合わせに左右されます。仕事がうまくいっているときこそ、謙虚さが大切。毎年の初詣、氣多大社で良い気をいただき、三井さんとお話しする。「抗えないもの」に向き合い襟を正すための、欠かせない習慣です。(山内)
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2026年3月6日号)の一部を再編集したものです。
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(構成=加藤圭悟(本誌編集部) 撮影=石川幸史)
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