秋田県と農水省がもめている。何が起きているのか。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は、「秋田県は2023年産米について減産するように圧力を受けたと主張している。農水省は減反政策は廃止しており、そのようなことはないと説明しているが、真っ赤なウソだ」という――。
鈴木憲和農林水産大臣(2023年5月)と鈴木健太秋田県知事(2025年9月25日)
鈴木憲和農林水産大臣(2023年5月)と鈴木健太秋田県知事(2025年9月25日)(写真左=農林水産省/CC-BY-4.0/ウィキメディアコモンズ・写真右=内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局/CC-BY-4.0/ウィキメディアコモンズ

農水省からの圧力を証言した秋田県知事

2月27日、毎日新聞は「鈴木農相が秋田県への『圧力』否定、県に反論 コメ生産目安巡り摩擦」と題した記事で、秋田県が農水省から作付けをもっと減らすように圧力を受けたと主張していることを報じた。

国は2018年産から生産者への生産数量目標を配分する減反政策を取りやめた。現在は生産現場に主食用米などの需給見通しを示し、それに基づいて道府県や農業団体などが地域内の実情に応じ生産量の目安を定める方式に変更している。国が介入せず、産地側の自主的判断に委ねた形だ。

これに対し、秋田県の鈴木健太知事は2月20日の県議会で、県や農業団体が合意した23年産の県産米の生産目安に関し、国から22年産より増加していると指摘され「意見交換などの場で目安の見直しを強く求められた」と答弁。(県庁や農業団体が自主的に生産量を決定する~筆者注)「本来の制度の趣旨を逸脱した行為であったものと受け止めている」と懸念を示した。

今回の問題は産地側の判断に介入せず「減反政策はしていない」とする国の説明に疑念を生じさせかねない。鈴木憲和農相は27日の会見で圧力を否定する一方で、そう受け止められかねないやり取りがあったとすれば「非常に不本意で、あってはならない」と述べた。

まず、この記事の誤りを指摘したい。

「国は2018年産から生産者への生産数量目標を配分する減反政策を取りやめた」というのは、農水省の主張をなぞっているだけで、間違いである。

まず、減反政策の本丸である減反補助金は、今でも「水田活用の直接支払交付金」という名称で存続している。毎年3500億円も生産者に交付して生産を減少させている。これがないと生産者は減反に応じないからだ。