ホルムズ海峡の事実上の封鎖で、日本に食糧危機が起きると報じられている。本当にそうなのか。農政アナリストの山下一仁さんは「食糧危機は起きない。むしろ問題は、日本の化学肥料価格がすでにアメリカの2倍に達しているという、メディアが報じない日本特有の構造にある」という――。
「農業危機報道」の既視感
石油価格の高騰が農業生産に大きな影響を与えるという報道がなされている。また、ホルムズ海峡を経由して大量の化学肥料が主としてアジア諸国に供給されていることから、紛争が長期化すれば食料安全保障を脅かすとも報道されている(3月15日付日本経済新聞)
2026年3月30日テレビ朝日「グッド!モーニング」は、農業経営への影響を緩和するために補助が必要だという農家の主張を報道した。
生産コストが増す一方でコメの販売価格が下落傾向になることで、農家を取り巻く環境は厳しさを増しています。『自分たちでできる節約の限界があるので、燃料・肥料・農薬は補助があれば良いなとは思う』(農家)
29日には、全国17カ所で農業の危機的状況を訴える「令和の百姓一揆」というデモ行進が行われた。
ある農業経済学者の食料危機を予告する主張も目にした。
「コメ生産は田植えの時にも、収穫時にも農機を稼働させるので、燃料代高騰の影響はバカになりません。最近は農機そのものも値上がりするなど、営農コストが上がるばかり。多くのコメ生産者は経営が苦しく、次の世代に引き継ぐ余裕もない。今回の中東情勢でさらにコメ農家の負担が増えれば、雪崩を打って離農してしまいかねません。その果てに待っているのは、日本の食糧危機です」(3月12日付日刊ゲンダイDIGITAL「中東情勢悪化で日本の農業に大打撃…ほぼ全量が輸入依存の原油&肥料高で“二重苦”に」)
“またか!”という思いだ。

