高市早苗首相はどのような政治家か。農政アナリストの山下一仁さんは「農業政策を見れば、既得権者重視の政治家であることは明らかだ。同じ安倍晋三氏の弟子でありながら、稲田朋美元政調会長とはこうも違う」という――。
高市内閣VS.自民党
久しぶりに“懐かしい”政治シーンを見た。
4月6日の自民党法務部会で、冤罪が疑われる場合に裁判をやり直す再審制度の見直しについての法案が議論された。再審の決定後に検察官が不服を申し立てられる「抗告」制度の存続を認める政府案に対し、同党議員から審理の長期化を招くとして禁止を求める意見が相次ぎ、会議が紛糾した。
口火を切ったのは、稲田朋美元政調会長だ。
「マスコミが退出する前に私一言言わせてもらいたいんですよ。1ミリも私たちの言うこと聞かないじゃないですか。ほとんどの議員が抗告禁止と言っているにもかかわらず、それを全く無視している!」
政府が法案などを国会に提出する際は、あらかじめ担当の部会の合意をとったうえで総務会に提案し了承を得る。総務会の決議は全会一致だ。今回の場合は、法務省が担当する法案なので法務部会に諮ったのである。
だいたいの場合、部会で議論が紛糾することは少ない。政府と自民党の間で大きく意見が異なるような案件は少ないし、部会にかける前に担当省庁が部会の議員に根回しをして異論が出ないようにするからだ。それでも反対の議論が出され部会の了承が得られないと、担当する局長や課長の責任問題となる。このため、周到な根回しが行われる。
今回の法案については、政府・法務省と自民党議員の意見が真っ向から対立していた。法務省の担当者も大方の議員に根回しはしたのだろうが、反対論が出されても、法制審議会の答申を盾に押し切れると高をくくったのだろう。世論や国会議員の意見を甘く見たのである。


