凪になった農林部会
もう一つ“懐かしい”と思うのは、今の農林部会で、このような光景は見られなくなっているからである。
かつて農林水産省と、自民党農林族議員とJA農協の間には緊張関係があった。少数の規模の大きい農家に農地を集積して構造改革を進めようとする農林水産省に対し、すべての農家を丸抱えしたいとするJA農協は、構造改革を農家の“選別政策”として非難した。零細な兼業農家のサラリーマン収入をJA農協の預金として活用したいという実利もあった。改革派の農政官僚はJA農協を嫌った。
しかし、今の農林水産省の役人は、農業の構造改革を進めることはあきらめ、米価などをできる限り高く維持したいとする、自民党農林族議員やJA農協と同じ方向を向いている。農林水産省、自民党農林族議員、JA農協という農政トライアングルの関係は、対立ではなく協調である。
高米価維持法案が提出される
農家の所得を上げるにしても、消費者のためを思うと、価格を上げるのではなく構造改革を進めてコストを下げるべきだとする、柳田國男以来の農政本流の考えは放棄された。農政トライアングルが目を向けるのは、農業村の構成員だけである。だから、農林部会に属する農林族議員にとって全く異論のない「需要に応じた生産」という減反・高米価政策を維持する法案が、与党・政府内で全く異論もなく国会に提出される運びとなるのである。
農林水産省は、輸出という需要を増やすので減反(減産)ではないという理屈を言っているが、高い価格のままでどうやって輸出を増やすというのか? 経済を知らないのも甚だしい。農林水産省の役人のレベルも甚だしく低下した。カリフォルニア米は、大幅なドル高にもかかわらず輸入禁止的な関税を乗り越えて日本に輸出されている。日本の米価が高すぎるからだ。

