かつての農水省は国民のために戦っていた

私が“懐かしい”と言ったのは、かつては農林部会で自民党議員と農林水産省が激しく対立したからである。特に、議論が紛糾したのは、米価や乳価などの行政価格の決定をめぐってである。

農林水産省は、消費者により安く食料を供給したり、関税削減などの国際交渉に対応したりするためには、農業の構造改革を進め、コストの低い効率のよい農業にしなければならないと考えた。農家の規模が拡大してコストが下がれば、それを価格引き下げにつなげたいと主張したのだ。

しかし、選挙区の農家から経営を向上するためには価格を下げないでほしいという強い要望を受けている国会議員は、農林水産省の言うことを聞くわけにはいかない。選挙で落ちるからだ。また、農地面積が一定で一戸当たりの規模を拡大するためには、零細な農家に農業をやめて農地を貸し出させなければならない。そうすると農業票が少なくなってしまう。