既得権者重視の高市内閣と戦う稲田氏

石破政権は減反政策を見直し、米価を下げて構造改革を進めようとした。これに対し、高市政権は、選挙区の農家しか目を向けていないような農林族議員の鈴木氏を農相に任命した。農政トライアングルという既得権益グループに農政を丸投げしたのである。

2025年10月25日、初登庁する鈴木憲和農林水産大臣
2025年10月25日、初登庁する鈴木憲和農林水産大臣(写真=農林水産省/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

農林水産省の審議会の委員にはJA農協代表が任命されている。再審制度の見直しを審議した法制審議会でも検察を代表する法務省刑事局長が委員となっている。つまり、減反を法制化しようとする法案も、検察官が不服を申し立てる「抗告」制度を認める法案も、既得権益グループの利益を反映したものだったのである。高市政権の本質は、伝統的な既得権益重視の自民党政治そのものなのだ。

これに稲田氏ら自民党議員は異を唱えたのだ。ある意味、彼らは旧来の自民党の利権政治を体現している高市政権に挑戦しているのだ。

農業改革に挑んだ安倍氏の後継者

私が農林水産省を辞めてしばらくして、ある団体の総会が自民党本部で開かれ、そこで講演するため呼ばれたことがあった。稲田氏はその団体に対応する自民党内の議員グループの事務局長だった。

『コメ高騰の深層 JA農協の圧力に屈した減反の大罪』(宝島社新書)
『コメ高騰の深層 JA農協の圧力に屈した減反の大罪』(宝島社新書)

彼女は「農林族議員の中から、構造改革を主張する山下さんを自民党本部に入れるなという圧力がありましたが、抑えました」と私に言った。今回彼女の法務省という既得権に対する挑戦が成功することを期待したい。

さらに、コメの値段を高止まりさせようとする減反法案は消費者の利益を損なうばかりか、台湾有事の際に国民を餓死させる亡国の政策である。稲田氏には、国家安全保障のために農業の既得権にも挑戦してもらえないだろうか?

最後に、高市氏が尊敬する故・安倍晋三氏は農林水産省内の改革派と呼応して農協改革など既得権に切り込もうとした。高市氏は、どうしてこれに倣おうとしないのだろうか?

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