食料品の消費税減税が実現すれば、物価は下がるのか。元農水官僚で武蔵野大学国際総合研究所研究主幹の山下一仁さんは「物価高対策と言いながら、物価高の主因であるコメの価格は吊り上げ、一方で税の仕組みを歪めて農業の既得権益を温存しようとしている。これでは日本はますます貧しくなる」という――。
記者会見で消費税の減税を表明した高市首相=2026年1月、首相官邸
写真提供=共同通信社
記者会見で消費税の減税を表明した高市首相=2026年1月、首相官邸

物価高を招く食料品の消費税ゼロ政策

物価高対策の柱として先の衆議院選挙で公約とされた、食料品の消費税ゼロとする政策がなかなか前に進まない。実現に意欲的な高市早苗総理に対し、この問題を検討している社会保障国民会議は夏前に中間報告を出すとしているが、さまざまな検討課題が出される中で、結論は出るのだろうか?

消費税をゼロとすることにはレジの変更に1年もかかるが、1%ならあるていど早く対応できるという業界の意見が出された。これに配慮して、食料品の消費税を1%にしてはどうかという案も主張されている。

この業界の意見に対して、食料品の消費税ゼロを悲願だと言う高市総理は、国会において「日本の恥」とまで発言した。

しかし、そんなことも検討しないで政策をぶち上げることこそ日本の恥だとする論調もある。何より、食料品の消費税をゼロにすれば、物価高はむしろ悪化する。物価高対策が物価高を招くという支離滅裂な政策なのだ。

本稿では、その理由を解説していきたい。