一流のビジネスパーソンはどこが違うのか。そのひとつは「数字を扱う力」だろう。なぜ数多のデータを瞬時に分析できるのか。プロに、そのテクニックを聞いた――。

数学的に考える力を身に付けるメリットは、大きく2つあります。

1つ目は、だまされにくくなること。数字は、それだけで客観的な事実のように見えてしまいます。しかし、都合のよいデータだけを切り取っていたり、印象を操作するように示されていたりすることは珍しくありません。投資商品の売り込みなどはその典型です。数学の素養があれば、「この数字は本当に正しいのか?」と立ち止まって考えられるようになります。

2つ目は、ライバルに差をつけやすいこと。学生のみなさんに「数字やお金を扱う科目が得意な人は?」と聞くと、手が挙がるのは多くて2割です。

「苦手な人は?」と聞くと、いっせいに手が挙がります。苦手な人が多いからこそ、基本を学ぶだけでも強力な武器になります。なかでもアカウンティング(会計)やファイナンス(財務)は、マーケティングやリーダーシップとは違ってセンスでカバーしやすい分野ではありません。だからこそ、基本を学ぶことで一気に差をつけることができます。

数学をあきらめてしまった、いわゆる「私立文系」の方も心配はいりません。高校数学は抽象度が高く、挫折する人が多いのは自然なことです。指数関数、平均といった考え方は、仕事や日常生活のあちこちで使われています。身近なものごとと結びつけて考えれば、数学が身近に感じられ、苦手意識も薄れていくでしょう。

スタートアップが採るブリッツスケーリング戦略

数学的に考える力を養ううえで、知ってほしいのが「指数関数」です。

「y=aのx乗」で表される関数で、たとえば「y=3のx乗」なら、xが1、2、3、4と増えるとき、yは3、9、27、81と増えていきます。xが9になれば、yは1万9683。最初は緩やかでも、途中から爆発的に伸びていくのが特徴です。

これまでのビジネスは、一次関数(y=ax+b)で説明できることがほとんどでした。ところが近年、とくにテクノロジーの世界では、指数関数的に成長するケースが目立っています。

典型例が「ムーアの法則」です。

「半導体チップに集積できるトランジスタ数は、1年半から2年程度で2倍になる」という経験則で、インテル創業者のゴードン・ムーアが提唱しました。2年で2倍なら、4年で4倍、6年で8倍。こうした積み重ねが、コンピュータの性能向上と低価格化を支えてきました。

(構成=石井晶穂 図版作成=大橋昭一)