日経平均株価は最高値更新から、わずか1カ月で大きく下落した。値動きに振り回されないためには、数字を動かす仕組みを知っておく必要がある。経済指標を読み解くプロに、投資に役立つ数字の見方を聞いた。

【吉野】新NISAをきっかけに投資を始めた方から、「チャットGPTやクロードに自分の持っている株を分析させて、それで買うかどうか決めていいのか」と聞かれることがあります。結論から申し上げると、AIに株価を予想をさせるのはお勧めしません。

株価を予想するのはプロでも難しい。

どの銘柄も、証券会社のアナリストは目標株価を出しています。しかし、相場は動くもの。絶対的な株価はなかなか当たりません。しかも、目標株価が公表された時点で、その数字はある程度、株価に織り込まれてしまいます。

では、AIの予想はどうか。

先日、大学の授業で試してみました。「明日の株価は上がりますか、下がりますか」と聞くと、ちゃんと答えが返ってきます。10回やって、10回とも「上がる」でした。ところが「いくら上がるのか」まで答えさせると、これがバラバラなんですね。理由も一緒に答えさせましたが、毎回違う。しかも、翌日の株価は下がりました。

実は、証券会社が使っているAIモデルでも似たようなことが起きます。あるモデルは大きく上がると出す。ところが、いちばん新しいモデルは横ばいと出す。2つ並べてしまうと、どちらが本当なのかという話になってしまう。だから最後は、定性的に自分の主観を含めて判断するしかないのです。

AIが使えないという話ではありません。私も毎日使っています。原稿を推敲するときも、以前は何度も読み返していたものを、いまはとりあえず投げてしまう。表現もうまく直してくれます。調べ物や情報の整理には、これほど便利なものはない。

できないのは、そこから先の解釈です。株価は、そのときの買い手と売り手の強気・弱気で決まります。数字を集めて並べるところまではAIがやってくれても、それをどう読むかは人間の仕事です。「AIに全部任せてしまえばいい」という風潮がありますが、これはやめたほうがいい。

業績予想の修正回数から市場全体の調子がわかる

では、株価の予想が全くできないかといえば、そんなことはありません。市場全体が中期的にどちらへ向かうかを判断するうえで、私が毎朝チェックしている指標が、リビジョン・インデックスです。

アナリストは、担当する企業の業績予想を上方修正したり下方修正したりします。リビジョン・インデックスは、こうした業績予想の修正(リビジョン)がどれだけあるかを指数にしたものです。上方修正した件数と下方修正した件数の差を出し、全体に占める比率を算出します。指数がプラスであれば上方修正のほうが多い、つまり市場全体として業績が良い、ということになります。

(構成=本誌編集部)